入浴時は装具をつけたままでいいの?注意する点はなに?|ストーマ術後ケア
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、ストーマ造設後の入浴について解説します。
入浴時は装具をつけたままでいいの?注意する点はなに?
ストーマ造設後も入浴を行うことは可能です.
入浴の方法には,装具をつけたままの場合と装具をはずして入浴する場合があります.装具をはずしての入浴は,食前など排泄物の出にくいタイミングを工夫します.
また,公共浴場を利用する場合は,装具を肌色や小さめの採便袋や採尿袋を利用すると目立ちにくくなります.
〈目次〉
解説
オストメイトの中には,ストーマからお湯が入るのではないかと,入浴に対し恐怖心を感じている方が多くおられます.基本的には,ストーマ装具をはずして浴槽に入っても,水圧より腹腔内圧のほうが高いので,ストーマからお湯が入ることはないことを説明しておきましょう.
1ストーマ装具をはずしての入浴
ストーマ装具をはずして入浴することができますが,ストーマ自身に禁制を保つ機能はないため,排泄物の出にくい時間帯などを考慮していく必要があります.また,カテーテルが挿入されている尿路ストーマなどでは,装具をはずしての入浴は行えないので,装具をつけたままの入浴になります.
入浴後,発汗が著明なときに装具をつけてもはがれてしまいます.ストーマに手ぬぐいなどをあて,発汗が落ち着くまで待ってから装具をつけましょう.
2ストーマ装具をつけての入浴
ストーマ装具をつけて入浴する場合,入浴前に必ず採便袋や採尿袋の中身を捨てて空の状態にしましょう.ストーマ装具を折りたたんでテープなどで留めておくとコンパクトになります(図1).
ストーマ装具の面板が全面皮膚保護剤の場合,面板の外縁が多少は膨潤しますが,ストーマ近接部が接着していれば,漏れたりする心配はありません.
各メーカーにより採便袋の形状は異なります.ガス抜きフィルターの種類によっては,そのままの入浴が可能のものと,水の浸入を予防するテープが必要なものがあるので注意しましょう.テープを使用した場合は,入浴後にはがします.
入浴後は,採便袋や採尿袋外周の水分をしっかり拭き取りましょう.不織布に水が浸入すると拭き取るだけでは十分に乾燥しません.その状態で肌と密着すると,浸軟から皮膚障害を起こすことがあります.肌と採便袋の間に不織布が乾燥するまで手ぬぐいなどをあてておくと良いでしょう.
知っておこう!公共浴場での工夫
公共浴場(銭湯や温泉など)を利用する際は,排泄物が出る可能性があるため,衛生上ストーマ装具を装着して入浴します.採便袋や採尿袋は肌色でコンパクトな商品(センシュラ1ミニ,ニューイメージロックンロールミニ肌など)を選択すると目立ちにくいです.
また,左にストーマが造設されている方は左端,右にストーマが造設されている方は右端の洗い場を使用したり,移動時は手ぬぐいで腹部を覆う工夫を行います.夜間や早朝など入浴者の少ない時間帯を選択するとよいでしょう.入浴用の装具を使用したときは,入浴後にそれを廃棄して通常使用している装具を装着します.
[Profile]
松田 貴子 まつだ・たかこ
星ヶ丘厚生年金病院看護局看護係長/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行