尿路ストーマですぐに医師に報告する状態はどのような時?

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、尿路ストーマですぐに医師に報告すべき状態について解説します。

 

尿路ストーマですぐに医師に報告する状態はどのような時?

 

カテーテルが抜けてしまった時や,尿量減少・腰背部痛・発熱など(腎盂腎炎を疑う症状)が生じた時,大量の出血,腹膜炎症状を伴う時は,ただちに医師へ報告しましょう.

 

〈目次〉

解説

1ただちに医師に報告する状態

消化管ストーマでの報告内容に加えて,①カテーテルが抜けた時,②尿量減少,腰背部痛,発熱などが生じた時です.

 

術直後の尿路ストーマには,左右の腎盂まで挿入されたカテーテルが留置されています.カテーテル抜去後時間が経過してしまうと狭窄するため早急に再挿入しなければなりません.装具交換時などに少しずつカテーテルが抜けてしまうことがあるので,挿入の長さを観察します.カテーテルの目盛で確認したり,マジックで印をつけておくと把握しやすいでしょう.尿量減少,腰背部痛,発熱は水腎症や腎盂腎炎の可能性があります.術直後は多少の血尿は通常みられることですが,時間とともに血尿が濃くなる場合は,バイタルサインも含めて医師に報告しましょう.

 

2医師が来棟時に報告する状態

消化管ストーマでの報告内容に加えて,①術後の血尿が数日経過しても薄くならないまたは増強する時,②カテーテルから尿の流出がない時などは,医師の来棟を待ちながらも数時間以内には報告しましょう.カテーテルから尿が流出しなくてもカテーテルの周囲(ストーマ孔)から流出があれば問題はありませんが,カテーテルが閉塞している可能性が高いため,報告したほうがよいでしょう.

 

知っておこう!基礎疾患を含めた全身状態を把握しよう!

高齢者社会とがん治療の発展に伴い,高齢者の尿路ストーマ造設が増えています.高齢者はいくつかの疾病を抱えている者が少なくありません.糖尿病肝臓病・腎疾患・心疾患・膠原病などの疾患や放射線照射,抗がん剤・ステロイド剤・抗凝固剤などの治療は,創傷治癒遅延や皮膚耐久性低下をもたらし,ストーマ造設術後の早期合併症にも影響を及ぼすことがあります.ストーマの局所だけでなく全身状態を把握することが重要です.

 


[引用・参考文献]

 

  • 1)斎藤忠則ほか.“尿路変向術および新膀胱造設術(再建術)の合併症”.ストーマリハビリテーション 実践と理論.ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編.金原出版,2006,77─89.
  • 2)高知勢子.“術直後のケア”.基礎からわかる! 尿路ストーマケア.泌尿器ケア夏季増刊.溝上祐子ほか監.メディカ出版,2010,126─56.

 


[Profile]
清藤友里絵せいどう・ゆりえ
東邦大学医療センター佐倉病院看護部看護師長/皮膚・排泄ケア認定看護師

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。

 

[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行

 

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!

 

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