尿量とは・・・
尿量(にょうりょう、urine volume)とは、排泄された尿の量のことである。
尿は腎臓で血液が濾過されて生成された体内代謝産物が溶けている排泄物である。この目的のため、1日最低400~500mLの尿量が必要である。したがって、尿量は腎臓の機能の評価として有用である。健康人では体重1kgあたり、1時間に約1mLの尿が排泄される。腎機能が正常な場合、尿量は水分の摂取量と喪失量(発汗量、不感蒸泄、下痢、嘔吐など)によって変動する。また、正常腎機能患者においては循環動態の指標としても重要である。
腎臓はネフロンの集合体で、ネフロンは腎小体とそれに続く尿細管からなり、腎小体は糸球体とボウマン嚢とからなる。これが腎臓の基本的な機能単位である。ネフロンは、左右の腎臓にそれぞれ約100万個ずつある。各ネフロンを流れる毛細血管内の血液中の老廃物が濾過され、再吸収、分泌、濃縮が行われて尿が作られる。
異常尿量の分類
成人の1回の排泄尿量は200~400mLほどで、1日の総量は1,000~2,000mLほどである。尿量の異常は次のように分類される。
1)多尿
尿量2,500~3,000mL/日以上の場合。糖尿病、尿崩症、水中毒、急性腎不全利尿期、慢性腎不全多尿期などでみられる。
2)乏尿
尿量400mL/日以下の場合。原因として、腎血流量の低下(腎前性)、腎障害(腎性)、尿管・膀胱などの尿路閉塞(腎後性)がある。
3)無尿
尿量100mL/日以下の場合。腎皮質壊死、急性糸球体腎炎極期、ショックなど重篤な病態でみられる。
4)尿閉
尿路の通過に障害があり、膀胱にたまった尿を排出できない状態。原因として、前立腺肥大症、前立腺癌、膀胱・尿路腫瘍、神経因性膀胱などがある。
尿量の評価には、1日に排泄される尿を正確に蓄尿する必要がある。最終的に排尿を確認した後、その24時間後まで尿を捨てずにすべて貯めるように患者に指示する。患者が十分理解したか確認することが重要である。