消化管ストーマですぐに医師に報告する状態はどのような時?

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、消化管ストーマですぐに医師に報告べき状態について解説します。

 

消化管ストーマですぐに医師に報告する状態はどのような時?

 

ストーマ袋に貯留するほどの大量の出血や,ストーマが脱落し腹膜炎症状を伴う場合は,ただちに医師へ報告しましょう.

 

〈目次〉

解説

医師への報告の緊急度については,ストーマの異常を発見したが周囲に医師がいない状況で,電話をしてすぐに報告する必要があるか,または,医師が来棟した時(数時間以内)に報告すればよいかで区別することとしましょう.

 

1ただちに医師に報告する状態

ただちに報告する必要がある状態は,①ストーマ袋に貯留するほどの大量の出血,②ストーマが脱落し腹膜炎症状を伴う時です.緊急手術の検討を含めて対処が遅れると生命危機状態となる可能性があるため,ただちに報告しましょう.

 

2医師が来棟時に報告する状態

医師が来棟した時に報告する状態は,①ストーマ壊死,②ストーマ粘膜皮膚離開,③ストーマ粘膜皮膚接合部から便または便臭のする滲出液の排出,④ストーマ脱落,⑤ストーマ粘膜や周囲皮膚の潰瘍の拡大,⑥ストーマ周囲皮膚の感染症を疑う時などです.面板を貼付してしまうと医師が直接観察できない場合は,写真を撮り記録に残しましょう.

 

このような合併症が生じた時はいつでも装具をはがして直接観察できるよう,低粘着性で短期交換可能な装具を選択しましょう.

 

ここに注意!患者からの痛みサインを見逃さない!

ストーマ粘膜皮膚接合部の感染や腹膜炎などに伴う疼痛は,合併症を早期発見するための重要なサインの1つです.よって,いわゆる術後の創痛との見極めが必要です.
術後は疼痛緩和目的で鎮痛薬が投与されるためマスキングされてしまうこともあります.また,炎症性腸疾患などでは繰り返す腹痛に耐えながら手術を迎える場合が多く,痛みに対し過剰に反応したり,我慢したりする患者もいます.痛みに対する言動や皮膚・腹部状態の変化,バイタルサインなどトータルに観察し,サインを見逃さないよう注意しましょう.

 


[引用・参考文献]

 

  • 1)貞廣荘太郎.“消化器ストーマの合併症”.ストーマリハビリテーション 実践と理論.ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編.金原出版,2006,51─8.

 


[Profile]
清藤友里絵せいどう・ゆりえ
東邦大学医療センター佐倉病院看護部看護師長/皮膚・排泄ケア認定看護師

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。

 

[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行

 

ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!

 

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