最終更新日 2018/05/15

側頭動脈炎

側頭動脈炎とは・・・

側頭動脈炎(そくとうどうみゃくえん、temporal arteritis〈TA〉)とは、大血管を主体とした血管炎である。大動脈と主要分岐動脈に病変を呈するが、特に外頸動脈に頻度が高いため側頭動脈炎と呼ばれてきた。現在は巨細胞性血管炎(giant cell arteritis〈GCA〉)に呼称が統一されている。

 

概要

血管壁に炎症を起こす疾患を血管炎といい、侵される血管の太さにより大型血管炎・中型血管炎・小型血管炎の3種類に分類される。巨細胞性血管炎は大型血管炎に分類されており、大動脈とその主要な分岐動脈に巨細胞を伴う肉芽腫性血管炎を呈するのが特徴である。疫学的には高齢者に好発する。人種・遺伝的要因・地理的な偏りが知られており、本邦では少ない。

 

症状

症状は血管炎による全身症状と、各血管の炎症や虚血による症状に分けられる。血管炎による全身症状は、発熱・体重減少・易疲労感・関節痛・症候性貧血等である。各血管の炎症や虚血による症状は侵される血管ごとに特徴的な症状を呈する。外頚動脈病変では局所的頭痛、側頭動脈の腫脹・圧痛・拍動低下、顎跛行、下顎痛などを認める。内頚動脈病変では眼動脈が侵されれば虚血性視神経症・視力低下・失明を認め、動脈が侵されれば脳梗塞も呈する。鎖骨下動脈病変では上肢痛や盗血現象、大動脈病変では大動脈瘤大動脈解離、冠動脈病変では狭心症心筋梗塞などの症状を認める。

 

また、リウマチ性多発筋痛症を高頻度に合併するため両疾患は近似した疾患と考えられている。巨細胞性血管炎の約40%にリウマチ性多発筋痛症を合併し、リウマチ性多発筋痛症の約15%に巨細胞性血管炎を合併する。

 

治療

治療はステロイドが中心となるが、失明のリスクがある場合はプレドニゾロン大量療法を行う。ステロイド抵抗性の場合や、ステロイド漸減に伴い再燃する場合はメトトレキサート等の免疫抑制剤併用を検討する。

執筆: 井上 彰

明石医療センター 救急科医長

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