最終更新日 2018/01/31

IgA腎症

IgA腎症とは・・・

IgA腎症(あいじーえーじんしょう)とは、アジア人や白色人種に発生する腎症のうち、原発性の中で最も多い慢性糸球体腎炎の一つである。発生率に関して、海外では男性の方が多いとされているが、日本では性別による差はない。病名は、腎臓の糸球体に免疫グロブリンの一種であるIgAが他の免疫グロブリンよりも多く沈着することに由来する。日本難病情報センターで難病指定されている。

 

原因は明らかでない部分が多いが、糸球体に沈着しやすい性質をもったIgA1が沈着して腎障害を生じると考えられる。また上気道感染に引き続いて悪化する例があり、粘膜免疫も病因に関わっているとされる。糸球体に沈着しているIgAが補体系を活性化させて炎症反応を起こすことがあり、サイトカインと呼ばれるタンパク質などによる腎障害もこの疾患の病態に関わっている。

 

大部分は自覚症状がなく、学校検診や健康診断などで発見されることが多い。蛋白尿を(いろいろなレベルで)認めることも多く、大量な尿タンパクを特徴とするネフローゼ症候群を呈することもある。また、感冒などの上気道症状に肉眼的血尿を伴うこともしばしばある。IgA腎症も他の糸球体腎炎と同様に、病気の進行にともなって糸球体や尿細管間質が破壊されていくため腎機能(老廃物の排泄・電解質調整)が悪化していくが、進行の程度や速度には患者によって幅が大きく、IgA腎症全体では20年の経過で40%程度の患者が末期腎不全に移行するとされる。診断は、症状・血液検査尿検査・腎生検によって行われ、確定診断には腎生検での病理組織診断が必要である。確立された治療法はないが、レニン・アンギオテンシン阻害薬(降圧薬の一種)、抗血小板薬、経口副腎皮質ステロイド薬などによる薬物療法や、ステロイドパルス療法、口蓋扁桃摘出術などが行われることが多い。減塩、食事指導、体重管理、禁煙などの生活習慣改善も勧められる。

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