最終更新日 2019/02/19

感冒

感冒とは・・・

感冒(かんぼう、coryza)とは、自然に寛解するウイルス感染症であり、その多くは汁・咽頭痛といった多くの症状を呈するウイルス性上気道炎のことを指している。「かぜ」と表現されることもある。

 

症状

多岐にわたる症状が併存するのがその特徴である。代表的な症状には咳、鼻汁・鼻閉、咽頭痛が含まれ、その他にも発熱、全身倦怠感、結膜炎など多彩な症状を来す。もし単一の局所症状のみが目立つような場合には、感冒ではなく、細菌感染症を考慮しなければならない。例えば、発熱・咽頭痛のみであれば溶連菌性咽頭炎、発熱・咳嗽・喀痰のみであれば急性肺炎を疑うべきである。

 

検査・診断

感冒に特異的な検査・診断は存在しない。何より感冒に紛れ込むその他の重篤な細菌感染症を見逃さないことが重要になる。実臨床では、鑑別診断のために、いくつかの迅速検査を行うことがあり、インフルエンザアデノウイルス、溶連菌などが検査対象となる。

 

治療

基本的には対症療法となる。対症療法には、総合感冒薬や漢方のほか、それぞれの症状に対して処方されることがある。例えば、発熱・咽頭痛に対して消炎鎮痛薬、咳嗽に対して鎮咳薬、鼻汁に対して抗ヒスタミン薬が処方されることが多い。なお、これらの対症療法には、罹病期間を短縮したり、悪化を防いだりといった確たるエビデンスはない。

執筆: 松岡由典

京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野

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