アデノウイルスとは・・・
アデノウイルス(あでのういるす)とは、かぜ症候群を起こす主要なウイルスである。季節性は特になく通年にわたって流行する。1型~51型までの血清型があり、血清型により多彩な症状を呈する点が特徴である。代表的な症状としては咽頭結膜熱、気管支炎、出血性膀胱炎、流行性角結膜炎、胃腸炎などがある。
咽頭結膜熱はプール熱の呼称もあり、3、4、7型で夏に多い。咽頭炎・結膜炎・高熱の3徴を同時に起こすことを特徴とする。潜伏期間は5~7日で、咽頭所見としては咽頭後壁にリンパ濾胞を伴うことが特徴的である。
気管支炎は、1、2、3、4、5、7型に多く、冬季を中心に小児に多い。通常鼻汁や咽頭炎、扁桃炎を起こし、発熱、咳、結膜炎がみられる場合もある。血清によって重症化しやすいものがあり、特に7型はサイトカイン血症からの間質性肺炎やARDS等致死的な合併症を引き起こしやすいとされている。
流行性角結膜炎は、8、19、37型が原因となり、やはり夏が多い。感染力が非常に強く、患者の周囲に感染予防策について周知する必要がある。
胃腸炎は、40、41型が引き起こし、小児領域ではウイルス性下痢症の第2位の原因であり、夏季に多い。潜伏期間は8~10日で症状は1~2週間持続することもあり、上気道症状を伴うこともある。
検査としては、アデノウイルス抗原を検出する迅速診断キットが使用されることがあるが、血清型別の判定はできない上、感度も十分ではない。治療方法は対症療法が中心である。