免疫のしくみ|抗原と抗体
看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。
[前回の内容]
今回は、免疫のしくみについて解説します。
片野由美
山形大学医学部名誉教授
松本 裕
東海大学医学部看護学科講師
Summary
- 1. 抗体は、免疫グロブリン(Ig)とよばれるタンパク質である。5種あるIgのなかで、血中濃度が最も高いのはIgGである。
- 2. 抗原が体内に入る(感作という)と体内で抗体が産生される。一度感作された体内に再び同じ抗原が入ると抗原抗体反応が起こる。
- 3. 抗体は、異物(抗原)と結合することによって抗原の毒性を減弱し、生体の防御にあたる。
- 4. 予防接種は、あらかじめ無毒化あるいは弱毒化した抗原を接種し、 2回目以降にその病原菌が侵入し、発病するのを防ぐことを利用したものである。
〈目次〉
抗体
抗体は、免疫グロブリン(immunoglobulin、Ig)とよばれるタンパク質で、5種類(IgG、IgA、IgM、IgD、IgE)ある。このうち、血中濃度が最も高いのはIgGである(全体の約75%)。
抗体の役割は、異物(抗原)と結合することによって抗原の毒性を減弱、無毒化し、生体の防御にあたる(抗原抗体反応)。また、マクロファージがうまく貪食できない細菌や異物の表面に付着して食べやすい形にする液体成分を生成する。これを免疫食作用またはオプソニン効果(opsonin effect)という(図1)。
図1生体防御のしくみ
抗原が体内に入ることを感作という。最初の感作では抗体はゆっくりつくられる(一次応答)が、2回目以降の感作では、大量の抗体がただちにつくられる(二次応答)。
ワクチンの予防注射は、あらかじめ少量の抗原を注射することで、その抗原体の抗体をつくっておき、次にその病原体が侵入してきた際にすばやく対応できるようにする予防方法である。破傷風やヘビ毒に対するトキソイド(無毒化した変性毒素)などはその例である。
補体は、肝臓やマクロファージによって作られる血漿タンパク質で抗体が敵を攻撃する際の手助けをする。通常、不活性な状態で存在するが、活性化されると、食細胞や抗体と連携し、異物を排除する(オプソニン効果、食細胞の動員、膜傷害複合体の形成による溶菌など)。
抗体価
抗体の量を抗体価という。ある抗原に対する抗体価を測定すると、その抗原(をもつ病原体)に感染しているかどうかが分かり、診断に利用できる。抗体価の測定には、赤血球や補体の作用を利用している。
抗原抗体反応
ある病原体に感染すると、その病原体と特異的に結合する物質(抗体、antibody)が産生され、病原体を無毒化することによって生体を防御する。この抗体産生を誘発するものを抗原(antigen)とよび、抗原がこの産生された抗体と反応することを抗原抗体反応という。生体のもつ抗体産生を利用して病原菌による発病を防ぐことを利用したのが予防接種(vaccination)である。
アレルギー
アレルギーは、免疫の病的な過剰反応であり、I型からIV型に分類される。I型アレルギーである花粉症では、花粉自体は生体に大きな害を与えるものではないのに、花粉(抗原)に過剰に反応して鼻汁やくしゃみなどを引き起こす。
しかし、タンパク質や薬剤に対する反応が非常に激しいことがあり、ショックを起こしたり、死亡する場合もある。これは過剰な抗原抗体反応であり、アナフィラキシー・ショック(anaphylactic shock)という。
※編集部注※
当記事は、2016年6月30日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
[次回]
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 図解ワンポイント 生理学』 (著者)片野由美、内田勝雄/2015年5月刊行/ サイオ出版