貪食とは・・・
貪食(どんしょく)とは、体内の細胞が不必要なものを取り込み、消化し、分解する作用である。貪食する対象は、アポトーシス(プログラムされた細胞死)によって死滅した細胞、体内に侵入した異物や病原体、がん化した自己の細胞等である。貪食作用(食作用、ファゴサイトーシスともいう)と呼ばれ、生体の細胞性免疫に深い関わりを持つ。
このような働きを持つ細胞は貪食細胞や食細胞と呼ばれる。白血球にある好中球や単球、マクロファージ、樹状細胞がそれにあたる。
また、貪食細胞は狭義の意味ではマクロファージのみを指すこともある。
食細胞の種類
好中球
病原体や異物等が体内に侵入した場合、まず好中球が目的の組織へ向かい、貪食を行う。各種の細胞が目的の組織に向かうことを遊走という。好中球は血管外を遊走することができ、寿命を迎えるまで貪食を続ける。血管を出た好中球は血管内に戻ることはできない。貪食の約50~70%は好中球が担っており、主に病原体を貪食する。
単球・マクロファージ
続けて単球が貪食を行う。単球は、血管を出て目的の組織に移動し定着するとマクロファージと呼ばれる。マクロファージは貪食能が高く、寿命を迎えた好中球をも貪食する。好中球は主に病原体を貪食するが、マクロファージは脂肪組織や異物、がん細胞や自己細胞の死骸なども貪食するため大食細胞とも呼ばれる。
樹状細胞
体内に侵入した異物の断片を樹状細胞が取り込み(貪食)、自らの細胞表面に目印を出す(抗原提示能力)。名前の通り細胞の周りに樹の枝のような突起があり、さまざまな組織や器官内に存在する。
関連用語
抗原
抗原とは、体内に侵入してきた異物や病原体が、自分の細胞や組織でないことを認識した目印をいう。抗原と認識すると、リンパ球は情報伝達分子(サイトカイン)を分泌し、免疫担当細胞同士で情報を伝達し合う。
抗体
抗体とは、抗原に結合するタンパク質の総称である。通常、一つの抗原に対して一つ作られる。抗体はγグロブリン(がんまぐろぶりん)という血漿タンパク質であり、血液中の赤血球、白血球、血小板を除いた液体成分に含まれる。抗原に結合した抗体は、抗原を無毒化する。あるいは、マクロファージに貪食される目印になる。またγグロブリン、免疫グロブリン、抗体の3者はほぼ同じ意味で使用されることが多い。