ジーン・ワトソンの看護理論:ケアリングの哲学と科学

『新訂版 実践に生かす看護理論19 第2版』(サイオ出版)より転載。
今回はワトソンの看護理論「ケアリングの哲学と科学」について解説します。

 

阿部芳江
関西福祉大学大学院看護学研究科/看護学部 元教授

 

 

 

Point
  • ワトソンの看護理論は、看護哲学に分類され、現象学的看護論に位置づけられ、現象学的・実存哲学的アプローチをとる中範囲理論である。
  • ワトソンの看護理論の中心概念は、「ヒューマンケアリング」と「トランスパーソナルなケア」である。
  • ワトソンのケアリングは、問題解決志向的行動というよりも道徳的理念であり、看護の実践の姿というよりも看護の可能性のあり様を示している。
  • 「なすこと」よりも「存在すること」に理論の特徴がある。
  • ケアリングの科学に関連する前提とヒューマンケアの価値観に関連した前提がある。
  • ケアリングに必要かつ十分な条件とトランスパーソナルなケアという関係を決定する条件がある。
  • 看護実践は10のケア因子に基づいて行う。
  • ワトソンの看護理論を活用することで、看護師も患者も自己成長できる。

 

 

ワトソンの看護理論

ワトソンの看護理論は、看護哲学に分類されているが、現象学的看護論に位置づけられている。

 

ケアリングの哲学と科学を融合させた人間科学としての看護理論であり、現象学的・実存哲学的アプローチとしてのトランスパーソナルなケアリングが特徴である。

 

ワトソンの看護理論は、看護師と患者の人間関係の相互作用を指向するヒューマンケアリングにある。

 

そのケアリングは、ヒューマニスティックで利他主義的な価値体系をとおした援助─信頼関係を形成し、患者と家族のニードを充足し、健康と成長を促すものであり、ケア要因として示されている。

 

したがって、ワトソンの看護理論は、記述的・分類的な中範囲理論に分類されてもいる。

 

そして、ワトソンのケアリングは、問題解決志向的行動というよりも道徳的理念を示す。

 

そして、「なすこと」よりも「存在すること」を重視している。つまり、看護の実際の姿としての行為というよりは、存在することによる看護の“癒し”の可能性を示しているのである。

 

 

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トランスパーソナルなケア

トランスパーソナルなケアとは、個人を超越したケアであり、相手と1つになる有り様を含んでいる。

 

それは人間と人間との間で結ばれる間主観的な関係であり、生きられる主観的世界との接触である。

 

看護師と患者が、相互に影響を与え合い、与え与えられる関係として存在し、看護師と患者がともにその時点のなかで確実に関与し合って、お互いの結びつきを感じている関係なのである。

 

ワトソンは、トランスパーソナルなケアが行われているときには、経験と両者を取り巻くものを上まわる独自のフィールドが存在し、自己を超越するきっかけをもつ、という考え方を示している。

 

このとき、看護師は患者の経験のなかに入り込み、患者もまた看護師の経験のなかに入り込むのである。したがって、ともに関与する者として存在することになる(図1)。

 

図1ヒューマンケアのプロセスの動態

ヒューマンケアのプロセスの動態

出典:ジーン・ワトソン、稲岡文昭ほか訳:ワトソン看護論─人間科学とヒューマンケア、医学書院、1992より改変

 

 

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ヒューマンケアリング理論の前提と条件

ワトソンの看護理論の中心的概念は、「ヒューマンケアリング」と「トランスパーソナル」であるが、看護におけるケアリングの科学に関して、主要な前提や条件があることを明言している。

 

ケアリングの科学に関連する7つの前提

  1. 1ケアリングは、対人関係のなかでのみ実践することができる。ケアリングは、人間のニードを充足する。
     
  2. 2ケアリングは10のケア因子からなり、人間のニードを充足する。
     
  3. 3効果的なケアリングは健康を増進し、個人あるいは家族の成長を促す。
     
  4. 4ケアリングは人々をあるがままに受容する。そして人間の成長の可能性をもっている。
     
  5. 5ケアリング環境は、そのときどきに応じてその人にとって最もよい行為が選択できるという潜在能力の発達を促す。
     
  6. 6ケアリングは、キュアよりも健康をもたらすものである。ケアリングの実践は、身体に関する知識と人間行動に関する知識とを統合して健康を増進する。また病む人の世話をすることになる。ケアリングの科学は、キュアの科学を補足し合うものである。
     
  7. 7ケアリングの実践こそが、看護の中心的課題になるべきものである。

 

ケアリングに必要かつ十分な5つの条件

  1. 1ケアに対するニードへの気づきと理解
     
  2. 2理解に基づいた行動や行為を行う意図
     
  3. 3ケアリングの結果生まれた+の変化(肯定的変化)
     
  4. 4ケアに対する基本的な価値観とケアへの道徳的なかかわり
     
  5. 5ケアへの意思
     

*注:上記のち、①〜③の3項目はガート(D.Gaut)が提示したものである。この考え方にワトソンが④と⑤の2条件を加えている。

*注:上記③は、ケアの受け手がこれでよいと思える状態になったかどうかを基準として判断する。

 

ヒューマンケアの価値観に関連した11の前提

  1. 1ケアと愛は、最も普遍的で、最も神秘的で、根源的な心的エネルギーからなる。
     
  2. 2ケアと愛のニードは見過ごされることが多い。相手のことを気遣ったり愛したりして人間性を育み、文明として発展させ、共存していく。
     
  3. 3看護の実践場面においてケアリングの理念と信念を維持していく能力が、文明の発展に影響を与え、看護の社会への貢献も決定する。
     
  4. 4自分自身をケアリングすることが、相手をケアリングする前段階である。
     
  5. 5看護は、健康─不健康に関して心配している人に対して、ヒューマンケアリングの立場をとっている。
     
  6. 6ケアリングは看護のエッセンスであり、実践にとって扇の要である。
     
  7. 7ヘルスケア提供システムのなかでは、ケアリングは強調されなくなってきている。
     
  8. 8看護のケアリングの基盤は、医療テクノロジーの進歩と制度とによって脅かされている。治療(キュア)と、採算を度外視した治療テクニックが激増してきている。
     
  9. 9ヒューマンケアを維持し、向上させることは、今日および将来の看護にとって大切な課題である。
     
  10. 10ヒューマンケアは、人と人との対人的な関係をとおしてのみ効果的に提示され、間主観的にかかわることにおいて、人間性というコモンセンス(誰もがもっている感覚)を生かすことができる。
     
  11. 11看護は、ヒューマンケアの理想を理論として実践し、調査研究として追及することによって、人類や社会に対して、社会的、道徳的、科学的に貢献できる。

 

トランスパーソナルという関係を決定する5つの条件

  1. 1人間の尊厳を守り高めようとする道徳的熱意
     
  2. 2相手にとって主観的に重要と思われた価値を強化しようとする看護師の意図と意思
     
  3. 3相手の内面の状態とフィーリングを実感し、理解できる看護師の能力
     
  4. 4世界内存在という相手の心身のあり方を見極め、理解し、相手と一体感をもてる看護師の能力
     
  5. 5看護師自身の生活史(原因としての過去)、経験、独自の感じ方(フィーリング)
     

*注 :上記①〜②の条件が揃っている場合に、患者は心・身体・魂の何らかの不調和の放出をうまくできるようになり、溜め込まれたエネルギーを自由に制御して、自然治癒力のプロセスに向けられるようになる。

(ワトソン、1992を要約)

 

 

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ワトソンの10のケア因子に基づく看護実践

ワトソンは、看護実践のための理論構築として、10のケア因子を定めている。これらの「ケア因子」は、ヒューマンケアとして患者との間で実際に進められていく。

 

患者の観察、血圧測定、全身清拭、体位変換車いすでの移送、点滴静脈注射といったものが、そのときどきに具体的な要因として働くのが、10のケア因子である。

 

ヒューマンケアには、具体的な狙いや意思、価値観が根底にある。看護師と患者双方の人間性の保持に向けて、人間と人間との2人の間でやりとりされる間主観的なケアの理念への熱意が、看護師に要求されているのである。

 

 

1人道的─利他的な価値体系の形成
(The formation of a humanistic-altruistic system of values.)

人間的かつ人道的で他人のためになるという利他的な価値観は人生の初期の段階で学習されるが、看護教育によってさらに育成され伸張に、発達していく。

 

人道的−利他的な価値観によって、与えることで得られる満足感と、自己の存在感を拡大していく。

 

 

2信頼─希望の教え導き
(The instillation of faith-hope.)

全人的(ホリスティック)な看護ケアと肯定的な健康を促進するために、看護師は信頼と希望について教え導き、効果的な看護師─患者関係を促進させる。

 

このことによって、患者は健康を求めるようになりウェルネスを促進していく。

 

 

3自己と他者に対する感受性の育成
(The cultivation of sensitivity to one's self and to others.)

看護師は、自己の感情と感性を認識して自己を受容し、自己実現していく。

 

看護師が、自己の感性や感情に気づき認識していくことで、相手にもより純粋に、利他的に感情豊かに接することができるようになる。相手も自分の感情と感性を大切にして自己を受け入れ、自己実現できるように感受性を育成していく。

 

 

4援助─信頼関係の発展
(The development of a helping-trust relationship.)

信頼関係は、肯定的感情と否定的感情の両方を受け入れる。相互の信頼関係には、一致、共感、温かさ、効果的なコミュニケーションが存在する。

 

一致には、真実であること、正直であること、純粋であること、信頼に値すること、などが含まれる。

 

共感とは、他者の認知や感情をもとに経験して理解する能力であり、理解したことを相手に伝えて対話できる能力である。効果的なコミュニケーションには、認知的・情意的・行動的な反応があり、援助・信頼関係はさらに発展していく。

 

 

5肯定的感情と否定的感情(フィーリング)の表出の促進と受容
(The promotion and acceptance of the expression of positive and negative feelings.)

看護師は、患者の肯定的感情も否定的感情も表出できるようにし、それらを共有することで、感情の表出が促進され、相互に受容できるようになっていく。

 

また、肯定的感情と否定的感情(フィーリング)の表出の促進と受容においては、理性的理解と情緒的理解は異なるということを十分に理解したうえで、対応することが求められる。

 

 

6意思決定への科学的問題解決法の体系的活用
(The systematic use of the scientific problem-solving method for decision making.)

看護過程は、科学的問題解決法に基づく看護ケアを可能にする。

 

そのため、意思決定への意思疎通には科学的問題解決法を体系的に活用していく。

 

 

7対人的な教授─学習活動のプロモーション
(The promotion of interpersonal teaching-learning.)

看護師は、患者自らがセルフケアを行う機会を設け、患者自らが自己のニードを判定する機会や自己成長できるように対人的な教授─学習活動をとおして働きかける。

 

その際、患者に十分な情報を与えることで、ウェルネスと健康に対する責任を患者に委ね、プロモーションしていく。

 

 

8支援的、保健的、是正的な精神的・身体的・社会文化的環境とスピリチュアル環境の提供
(The provision for a supportive,protective,and (or) corrective mental,physical,sociocultural,and spiritual environment.)

看護師は、健康および病気に関連している心理的、身体的、社会・文化的、精神的な環境要因を十分に認識していなければならない。

 

内的環境に関連しているものには、心的・スピリチュアルな安寧とともに、その人が有する社会文化的な信念などが含まれている。

 

外的要因には、疫学的な要因に加え、プライバシーが保たれ、快適で、安全で、清潔で、美的な環境要因が含まれている。

 

そこで、支援的、保健的、是正的な精神的・身体的・社会文化的環境とスピリチュアル環境を提供していくのである。

 

 

9人間のニードの充足支援
(Assistance with gratification of human needs.)

看護師は、自分自身とともに患者の身体的・心理身体的・心理社会的・内的─対人的ニードを認識し、ニードの充足を支援する。食事・排泄・呼吸などは基本的な低次の身体的ニードであり、活動やセクシャリティは低次の心理・身体的ニードである。

 

達成や対人関係は高次の心理・社会的ニードであり、自己実現は、さらに高次の個人的・対人的ニードである。

 

看護師は、これら低次元のニードを充足し、順次、高次元のニードを充足していかなければならない。

 

 

10実存的、現象学的な力の認識
(The allowance for existential-phenomenological forces.)

実存心理学は、現象学的な分析方法を用いて、人間の実存を研究する科学である。

 

一方、現象学は、探索している現象の理解に必要な状況そのものについて各種のデータを記述する科学である。そこで探索している現象を理解するには、データを受け入れ、解釈していく必要がある。

 

現象に関連している因子の理解によって、自己と他者をよりよく理解できるようになる。

 

したがって、看護師は10のケア因子を理解して促進するだけではなく、疾病の予防的活動をとおして健康を促進し、成長を促す責任がある(図2)。

 

図210のケア因子の解釈モデル

10のケア因子の解釈モデル

出典:ガートルード・トレス、横尾京子ほか監訳:看護理論と看護過程、医学書院、1992より改変

 

これらは、健康を促進するための行動変容を考えることになり、状況に合った支援を提供し、問題解決法を教え導く。また、喪失に対する適応と対処技能の熟知などによってケアリングが達成されていく。

 

 

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ワトソンの看護理論から得られるもの

ワトソンの理論的枠組みを学習することで、内的な洞察力が深まり、人間的にも成長できる。

 

コミュニケーション技術や自己の活用、看護師と患者の対人関係、健康と癒しを促すヒューマンケアリングの過程などが身につくことが期待できる。

 

そのため、ワトソンの看護理論は、看護実践に有意義な道徳的・哲学的基盤をつくり上げるのに役立つといえる。

 

ワトソンの看護理論への批判として、

 

  1. 1用語の定義がされていない
  2. 210のケア因子の内容が十分に論じられていない
  3. 3病態生理学的な内容が十分に論じられていない
  4. 4実存的、現象学的な考え方は複雑で理解しにくい
  5. 5真のケアリング−癒しの関係についての具体的方法が明確にされていない

 

ことなどがあげられている。しかしながら、この理論の特徴は、「なすこと」よりも「存在すること」にある。

 

看護師には、ケアリング理論の内在化が求められているのである。したがって具体的なケアリングの方法論に関して、How to的な不確実性を感じることがあるかもしれない。

 

 

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看護理論のメタパラダイム(4つの概念)

ワトソンの看護理論には、看護のメタパラダイムである人間、環境、健康、看護の4つの概念について明確に論じられているものと、明確には述べられていないものがある。

 

ワトソンの看護理論で論じられているなかから、4つの構成要素を導き出した。

 

 

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1人間

ワトソンによると、人間はかけがえのない存在であり、ケアされ、保護され、養育され、尊敬され、尊重され、理解され、支援される価値がある存在である。

 

人間は人格を備えており、自分についても他人についても精神的存在として尊敬と尊厳の念をもって接していく必要がある。

 

人間は精神的存在であるからこそ、実存の意味を見つけ出し、心身の調和をはかることによって高次の意識レベルに進むことができる存在なのである。

 

さらには、精神的存在であると意識することによって、人間は無限の可能性が開けてくる。

 

人間が精神的存在である証として、魂の所有を概念規定している。ワトソンのいう魂とは、霊的なものであり、精神であり、内面生活である。

 

また、魂は自分というものに意識を払う感覚であり、内的な力であり、人間の能力を広げられるものであり、自分というものの超越を可能にするものである。

 

つまり、魂・内的な自分・精神的な自分・霊的なものは、同じ現象を指しているといえる。

 

人間は、心・体・魂を統合したいという欲求をもち、心・体・魂の調和を追及している。

 

ワトソンは、マーサ・E.ロジャーズ(Martha E.Rogers)やマーガレット・A.ニューマン(Margaret A.Newman)と同様に、人間を部分としてではなく統一的存在としてとらえているが、部分を総和しても、全体としての人間には至らない。

 

さらに、人間は時間・空間を超越することができ、現在・過去・未来とも同時に共存できる存在でもある。なぜなら、私という人間のありようについて考える場合、「いま、ここにいる私」から超越して過去や未来のことに考えを巡らせることができるからである。

 

 

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2環境

ワトソンは、環境について概念は規定していないが、人間を取り巻く環境とのかかわり合いが健康に影響を及ぼすとしている。

 

したがって、環境は人間の心理・身体的健康にとって重要なものであるといえる。

 

環境は、健康に影響する社会的環境およびケアリングの文化でもある。

 

どのようにケアするかというケアリングの態度は、環境への独特な対応として専門職の文化によって伝えられ、ケアリング環境は、その時点でその人にとって最もよい行為が選択できるという潜在能力の発達を促す。

 

 

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3健康

人間は、心・体・魂の調和を追及する存在である。そのため健康とは、心・体・魂における統一と調和にほかならない。

 

健康とはプロセスであり、常に健康を気遣い、健康になることは、自分の人生をよくすることである。

 

つまり、身体的・精神的・社会的安寧がはかられ、調和していることが健康なのである。健康の程度は、知覚された自分と経験された自分との一致度に依存している。

 

一方で不健康とは、必ずしも疾患がある状態ではない。個人の魂のレベルで主観的なトラブルまたは不調和があることを指している。

 

心の悩みや罪悪感、絶望感、悲しみ、対象喪失など具体的なストレスは、不健康をもたらし、やがて病気になるかもしれない。

 

遺伝的な気質や体質が原因で不健康になり病気になる場合もあるが、その不健康がさらに不調和をひき起こし、不健康が増進されていくことになっていく。

 

 

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4看護

ワトソンの示す看護は、健康についての人間科学の視点を重視する。

 

看護は、専門的、個人的、科学的、審美的、倫理的な人間対人間のケアリング過程をとおして、看護の目的である人々の、より高いレベルでの調和を達成していくことである。

 

ケアリングこそが看護の本質であり、人間による人間のケアを、アートと倫理、そしてサイエンスによって結び付けて統合している。

 

ケアには、人間的尊厳を守ること、人間性の保持をめざして道徳的にかかわることという哲学が求められ、そこにはケアへの意志が存在する。

 

そしてヒューマンケアには、価値観やケアの意志と熱意、知識、実践などによって生み出される事柄が含まれる。

 

看護にこそ、健康や不健康の人間をケアする責任がある。看護は、人間の健康増進と健康の回復、病気の予防をはかって、ケアリングを行うが、ケアの最初の段階で気配りや愛を注ぐ対象は、自分自身である。

 

そのため、まず、自分自身を大切にすることから始めなければならない。なぜなら、自分を愛し、自分を大切にすることで、相手のことも尊重し、心から気遣えるようになるからである。

 

そして、看護は患者に対してかけがえのない独自の一人の人間として接していくのである。

 

看護を受けるその人と看護師個人の内面の主観的世界の意義を考慮しながら、人間の内面の主観的経験を重視し、親しみのある個人的かつ人間的なものとして追及していく。

 

看護は、患者の心身の不調和、患者の心の悩みやトラブルの意味を見いだせるように援助し、健康─不健康にまつわることに対して、セルフコントロールできるように支援し、患者が自己決定できるように援助していく。

 

そのため、患者の感情を受け止め、関心と共感をもって意思疎通をはかり、患者と看護師との時間を共有し「存在すること」を重視して、人間的なつながりを構築しながらヒューマンケアとしてともに参与していくことになる。

 

したがって、看護は間主観的なプロセスとしてのヒューマンケアであり、看護師である人間と患者である人間が、ともに主体としてやりとりしながらケアを進めていく。

 

看護におけるケアは行為であり、ケアリングは癒しであり、道徳的理念であり、価値観のことである。この考え方によって、患者を尊敬し尊重する態度が看護師から引き出される。

 

ケアリングには、患者─看護師間の感情と行動の両者を含んでいる。ゆえに、患者のそばに存在して傾聴するのである。

 

そして教育・指導し導くこと、患者の権利擁護をすること、あるいはタッチングなど、援助するすべての看護行為が含まれている。

 

具体的な看護実践は、人道的視点と科学的知識から引き出された10のケア因子を活用して、看護の理念が間主観的なものに成長していくプロセスに患者と看護師ともに参与することになる。

 

 

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看護理論に基づく事例展開

ワトソンと看護過程

ワトソンの看護理論に基づく看護実践は、10のケア因子に基づいて行われるが、その因子の6番目に「意思決定への科学的問題解決法の体系的活用」がある。

 

その因子には、看護過程を活用することによって科学的問題解決法に基づく看護ケアが可能になることが示されている。

 

しかし、どのように看護過程を活用するのかという具体的な方法は示されていない。

 

10のケア因子の最初の3つ因子である「人道的─利他的な価値体系の形成」「信頼─希望の教え導き」「自己と他者に対する感受性の育成」は、相互に関連しており、ケアリングの科学を支える哲学的基盤を形成するものである。

 

4番目の因子「援助─信頼関係の発展」、5番目の因子「肯定的感情と否定的感情(フィーリング)の表出の促進と受容」、7番目の因子「対人的な教授─学習活動のプロモーション」によって人間関係の「存在すること」の促進をめざし、8番目の因子「支援的、保護的、是正的な精神的・身体的・社会文化的環境とスピリチュアル環境の提供」により、患者が置かれている健康及び病気に関連している心理的、身体的、社会文化的、精神的な環境要因を十分に認識していくことになる。

 

そして、9番目の因子「人間のニードの充足支援」によって、基本的欲求の充足を図り、10番目の因子「実存的、現象学的な力の認識」によって、現象を理解するためのデータを受け入れ解釈していく。これらがヒューマンケアになっていく。

 

 

したがって、看護過程にワトソンの理論を適用するのではなく、ワトソンの理論に内在化された一部として、看護過程を活用することになる。

 

ワトソンが最も重視しているのは、ヒューマンケアリングであり、トランスパーソナルである。

 

トランスパーソナルなケアリングにおいては、ケアを与える者(看護師)とケアを受ける者(患者)の両者のヒューマン・センターに注意を注ぐ必要がある。

 

患者が生きる世界や、看護師が体験する生きたケアリング/ヒーリングにおいては、互いに結びつけられ、交信し、共同の参加者として存在するのである。

 

 

1哲学的基盤の形成

看護師は、人道的で利他的な価値観をもち、誠実に患者にかかわる意志を自覚する。

 

自分の感情を素直に認識して、患者に向き合うとき邪念なく感情豊かな看護師として存在する必要がある。

 

そこには、倫理的看護実践者としてのプロフェッショナリズムがあり、それらが哲学的基盤を形成していく。

 

 

2人間関係の促進

看護師は、患者とともに「存在すること」をとおして、信頼関係を発展させ、感情を表現し受け入れていく。

 

そして、教え教えられるトランスパーソナルな相互作用によって、両者の人間関係を促進させる。

 

 

3病気に関連する心理的、身体的、社会文化的、精神的な環境要因の認識

患者と看護師は、患者に影響を及ぼしている心理的・身体的・社会文化的・精神的環境の種々の要因の支援や保護などから環境要因を認識していく。

 

 

4トランスパーソナルなケア

看護師は、患者の経験している痛みの世界のなかに入り込み、患者もまた看護師の看護する者としての経験のなかに入り込むことで、トランスパーソナルな関係が構築される。

 

看護師と患者との間で結ばれる間主観的な関係として、生きられる主観的世界との接触が行える。

 

看護師と患者は、ともに影響を与え与えられる者として存在することで、お互いの結びつきを感じていく。このお互いの結びつきを感じる心の有り様がトランスパーソナルなケアとなる。

 

 

5評価

看護師にケアへの意志があったかどうか、ケアリングの結果生まれたものはプラスの変化(肯定的変化)をもたらしたかについて評価していく。

 

ケアの受け手がどのような苦悩のなかにあっても、看護師との関係において「これでよい」と思える状態になったのかどうかが判断基準になり、看護として評価されるのである。

 

 

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末期がんで精神的に動揺し、当たり散らしてしまう男性の事例

 

事例

Aさん、45歳、独身男性、身寄りはいない。職業はカメラマン。肝臓がんの末期で手術適応の時期は過ぎている。唯一の治療である放射線治療も、吐気や全身倦怠感が強くて進まず、病状は悪化する一方である。
もともとは大人しい性格の人であったが、身体的消耗が強く、精神的にも動揺が激しくなり、イライラ感から看護師はもちろん近くにいる人に、誰かれとなく当り散らしてしまう。

 

 

1哲学的基盤の形成

看護師は、病気への怒りを表出できるようにして、Aさんの感情を受け止めようとする。病状からくる苦痛と絶望に、混乱した精神状態を呈しているAさんは、「もう死ぬしかない」「いまさら何をしてもダメだ」「いっそ苦しまずに死にたい」と死へのいらだちや不安・恐怖を表出している。

 

死という言葉に、死にたくないという信条を吐露しており、死に対する恐怖と生への執着がありありとうかがえる。

 

看護師は、身寄りのない肝臓がん末期のAさんの苦悩や悲しみを利他的に自分のことのように切実に感じている。

 

Aさんに残された短い最期のときを少しでも安らかな気持ちで過ごせるようにしたいと願ってやまない。

 

看護師にはAさんを安らかな気持ちにしたいと願う、強く明確な意志がある。

 

 

2人間関係の促進

絶望的な思いにとらわれていらだつAさんは、ある夜、何かが癇に障ったらしく、とうとうそのいらだちが最高潮に達して怒鳴り出し、その怒りの声は病棟中に響きわたった。

 

看護師は、急いでAさんのところへ行き、Aさんに逆らうことなく大きく頷きながら、Aさんの感情表出を受け止め、Aさんのそばにいて興奮が冷めるのを待つ。

 

極度の興奮と混乱状態にあるAさんは、病気になって何もできなくなってしまったという無力感と焦りからやがて解放され、気持ちを整理する必要がある。

 

Aさんの苦痛の叫びにも似た感情表出に、ただひたすらを傾けて手を握っていると、数十分経った頃からAさんは次第に落ち着きを取り戻してきた。

 

やがてAさんは、

「生きている証を何か残したい。でも体力はない。絶望的だ」
「何をしたらいいかさえ、きつくて考えられない」
「残された時間で何ができるだろう」

と、さっきまでのいらだちが嘘のように、静かに語り出した。

 

看護師は、内面の苦悩を吐露されるAさんの手を握って頷き、黙ったまま聴いて受け止めている。

 

看護師は、「存在すること」をとおしてAさんのいらだちを表出させ、受け止めるという援助を行うことによって信頼関係を発展させ、Aさんの苦悩の感情をさらに深く受け入れるようになる。

 

そして、やがて写真をとおして教え教えられるトランスパーソナルな関係によって人間関係を促進させていくことができるようになっていく。

 

 

3病気に関連する心理的、身体的、社会文化的、精神的な環境要因の認識

Aさんはカメラマンとして、大自然の雄大な景色を写真というかたちで表現していた。しかし、いまはカメラを持つ体力がない。

 

「写真のネガはありませんか」という看護師の言葉にAさんはハッとし、ロッカーにしまっていたネガのことを思い出す。

 

看護師が「現像しましょう」と提案すると、Aさんは「そうか。写真は撮れないと諦めていた」と愛しむようにネガを手に取られる。

 

出来上がった写真を整理する体力は、わずかしかない。写真の整理は、看護師との共同作業になる。そのなかでAさんが熱意をもって語った数枚を大きく引き延ばす作業は、Aさんを生き生きと輝かせていく。

 

Aさんは、病気に関連する心理的苦悩を話し、看護師はそれを理解した。

 

病気に関連する身体的な体力の限界を査定し、病気に関連するカメラマンとしての心理的、身体的、社会文化的、精神的な環境要因を認識することができたのである。

 

だからこそ、写真という存在の介在によって、時間と空間を越えてAさんが希望に包まれる瞬間を迎えることができた。

 

 

4トランスパーソナルなケア

Aさんと看護師は、写真の世界に浸る時間を過ごす。

 

「この写真は○○で撮った写真、撮影のときにはこんな苦労があった」と語るAさんのそばで、あたかもその写真は、いままさに撮影している現場にいるかのように感じられる。

 

Aさんと看護師は、ともに写真家になって野山を撮影して歩き回る。

 

まさに、トランスパーソナルなケアとして、看護師はAさんの写真家としての経験のなかに入り込み、Aさんもまた、看護師の写真家を思う経験のなかに入り込む。

 

写真家としての喜びに、ともに生きる主観的世界との接触ができたのである。

 

看護師とAさんは、写真の世界をとおして、ともに影響を与え、与えられる関係として存在し、お互いの結びつきを強く感じている時間を過ごす。

 

Aさんは、死ぬ数時間前まで意識は清明だったため、引き伸ばした写真を撮影したときの状況を看護師と語り明かし、主観的世界と接触し合っていた。

 

時間と空間を越えて語り、思い描き、過去と現在と未来を越えて存在するAさんと看護師であった。

 

やがてAさんは意識を消失し、引き伸ばした写真に囲まれた静かな環境のなかで、安らかな表情をして逝く。

 

まさにAさんは、トランスパーソナルなケアのなかに生きたのではないかと判断される。

 

 

5評価

看護師のAさんに対するケアへの意志は強く、看護師としてAさんの苦悩に寄り添いたいという強い意図と愛情がある。

 

ケアリングをとおして生まれたのは、何もできないと絶望の淵にいたAさんの輝きである。まさに、ケアリングの結果生まれたプラスの変化(肯定的変化)である。

 

ケアの受け手であるAさんが、写真家としての輝きを取り戻し、安らかに逝くことができたのは、トランスパーソナルなヒューマンケアリングとして評価できる。

 

この事例は、ワトソンの看護理論を看護過程との関係で展開したものではない。

 

ワトソンの看護理論に沿って、「哲学的基盤の形成」「人間関係の促進」「病気に関連する環境要因の認識」「トランスパーソナルなケア」「評価」を中心に、事例の検討を試みたものである。

 

 

ワトソンについて(詳しく見る) ワトソンについて

マーガレット・ジーン・ハーマン・ワトソン(Margaret Jean Harman Watson)は、これからの医学と看護について、治療(キュアリング curing)を主流にするのではなく、看護(ケアリング caring)を主流にすべきだという考えを示し、ケアリングの重要性を論じている。

 

ケアリングとはトランスパーソナルなケア(個人を超越したケア)であり、ヒューマンケアリングの科学である。

 

ヒューマンケアリングは、ヘルスケア・システムを変革する基盤になりうるものであるとワトソンはいう。

 

ワトソンは、ルイス・ゲール(Lewis Gale)病院附属看護学校で看護を学びはじめた。

 

その看護学校の看護学科を1961年に卒業した後、1964年にコロラド大学で看護学士号を取得し、1966年に精神科−精神保健の修士号を取得している。

 

さらに1973年には、教育心理学とカウンセリングの領域の博士号を取得している。

 

これら看護以外の学問の探求をとおして、人間の有り様や人間関係の意味を思索したことは、ワトソンのケアリング理論を構築する糧(かて)となって結実し、看護界に大きな影響を及ぼしている。

 

博士号を取得した後に、コロラド大学に教員として迎えられ、看護教育者・研究者として活躍している。また、1983年から1990年までは、大学病院の看護副部長としても活躍し、ユニフィケーション(unification)の実践者でもある。

 

 

影響を受けた人々と理論の背景

ワトソンの看護理論は、フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale)やヴァージニア・ヘンダーソン(Virginia Henderson)、リディア・E.ホール(Lydia E.Hall)など多くの看護理論家が築いてきた知識体系を踏まえたうえで、マデリン・M.レイニンガー(Madeleine M.Leininger)、ヒルデガード・E.ペプロウ(Hildegard E.Peplau)などの看護理論が土台になっている。

 

それだけでなく、サリー・ガドウ(S.Gadow)やアブラハム・H.マズロー(A.H.Maslow)、マルティン・ハイデッガー(M.Heidegger)、エリック・H.エリクソン(E.H.Erikson)、ハンス・セリエ(H.Selye)、ジャン‒ポール・サルトル(J.P.Sartre)といった心理学や社会学、哲学の諸理論と業績も参考に看護理論を構築している。

 

さらに、カール・ロジャーズ(C.R.Rogers)の理論にも影響を受け、ロジャーズの現象学的アプローチは、他者を理解するために存在するとして受け入れている。

 

ワトソンの看護理論は、臨床の看護実践から帰納的に導き出されたものと、看護学・心理学・社会学・哲学などの理論から演繹的に導き出されたものが融合し、さらには、ワトソン自らの個人的な経験を背景に結実しているといえる。

 

ワトソンは、看護はアート(art)でありサイエンス(science)であるという認識から人文科学と社会科学を重視し、心理学に関する実在主義的現象学、実存哲学の立場を貫いている。

 

看護理論のカテゴリーとしては、看護の哲学に分類されている。

 

 

ワトソンの個人的経験

ワトソンは、1997年に事故に遭遇し、治療の甲斐なく左目の視力を失った。

 

このことは、ワトソンのケアリングに関する業績が社会的にも広く認知され、コロラド大学の名誉教授の地位にあるなど、高く評価されているときに起きた出来事であった。そして、この事故は彼女がマーサ・ロジャーズ賞を受賞して4年後のことであった。

 

ワトソンは、夫や看護師仲間、友人たちからのケアをとおして、失明による心の傷や苦痛、失意から立ち直ることができ、自分のケアリング理論を実証的に「患者として」経験した。

 

それは、ワトソンの個人的経験だったが、ワトソンの看護理論を大きく前進させる出来事でもあった。

 

ワトソンは、自身のこの経験から、「ケアリングは看護実践の本質であり、ケアリングは癒しである」という確信を得たことになる。

 

 

看護教育者として

ワトソンは、1973年の博士号取得後から、コロラド大学で看護学基礎理論や継続教育コースの教育者として活躍するとともに、看護学部長および副学部長の重責も果たしている。

 

また、大学院教育を推進し、1978〜1981年には博士課程の副責任者、さらに責任者としてヒューマンケアリング、健康、癒しを重視したカリキュラムを開発している。

 

これらの教育・研究活動は、後に専門職博士(Professional Clinical Doctoral Degree)の設置にもつながった。

 

 

ヒューマンケアリングセンターへの貢献

ワトソンは、ヒューマンケアリングと癒しを発展させて活用するための施設として、ヒューマンケアリングセンターをコロラド大学内に設置することに尽力した。

 

このセンターは、アメリカで初めて設置された、ケアリングに関する学際的な施設である。

 

ヒューマンケアリングセンターは、ヒューマンケアリングと癒しに関する学術研究をとおして、地域社会のヒューマンケアリングに関する活動や各種プロジェクトを支援している。

 

ヒューマンケアリングセンターには、諸外国から多くの研究者や学者が訪れ交流をはかり、学際的な議論も多くなされている。

 

こうした議論から、ヒューマンケアリングは臨床と教育の両者からの学術的なプロジェクトへも発展している。

 

 

ヒューマンケアリングに関する賞賛

ワトソンのヒューマンケアリングに関する教育者・研究者としての業績は多方面から高く評価され、数々の賞や栄誉を受けている。

 

 

コロラド大学名誉教授

1992年にコロラド大学から名誉教授を授与されている。

 

 

マーサ・ロジャーズ賞

マーサ・ロジャーズ賞は、すぐれた看護研究者に授与される栄誉ある賞の1つである。

 

ワトソンは、1993年に全米看護連盟からこの賞を授与されている。この賞は、ワトソンが看護学やヘルスサイエンスのなかでケアリング科学を発展させたことが評価され、看護学に貢献していることが認められたものである。

 

 

優秀看護学者

ヒューマンケアリングに関する諸活動が評価され、1998年にはニューヨーク大学の優秀看護学者として任命されている。

 

 

Norman Cousins賞

1999年にThe Fetzer InstituteからNorman Cousins賞が授与されている。

 

この賞は、ワトソンのヒューマンケアリングに関する活動が、ケアの実践を発展、維持、提示することにかかわっていると評価されたものである。

 

 

名誉博士号

ヒューマンケアリングに関する教育・研究活動が評価され、アメリカの大学(アサンプション大学、アクロン大学、ウエストヴァジニア大学)、スウェーデンのグーテンパーク大学、イギリスのルートン大学などから名誉博士号が授与されている。

 

 

名誉客員教授

ボストン大学、カソリック大学、コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジ、ニューヨーク州立大学などから名誉客員教授として迎えられている。

 

 

国際的な活動を評価された賞

オーストラリアの国際ケロッグ特別研究奨励が授与されている。

 

 

講演や研究プロジェクトでのヒューマンケアリングの発展

ワトソンは、アメリカ国内はもとより、カナダ、イギリス、ドイツ、スウェーデン、オーストラリア、ポルトガル、そして日本など、世界各地の学術会議などから招聘されており、フルブライトによるスウェーデンでの研究のほか、日本やインド、タイ、台湾などにも訪れている。

 

1989年には、日本看護科学学会第1回国際看護学術セミナーの招聘を受けて来日したとき、「ヒューマンケアリング理論の新次元」と題した講演を行っている。

 

この講演は、わが国の看護師がケアリングについて学ぶ機会になり、ケアリングについての関心が高まった。

 

 

看護理論に関するメディア制作

  • ビデオ『知識のサイクル』(全米看護連盟)
  • ビデオ『ケアリングに関するジーン・ワトソンとジャネット・クインの会見』(全米看護連盟)
  • ビデオ『卓越性の描写─看護理論家とその業績』(ヘレン・フールド保健信託)
  • ビデオ『ヒューマンケアリングのアートとサイエンスの活用─パート1、パート2』(全米看護連盟)

 

このほか、テープやコンパクトディスクなどの製作を手がけており、メディアによる看護理論の普及・発展にも貢献している。

 

 

著述活動

ワトソンには多数の著作があるが、代表的なものとしては以下のものがあげられる。

 

  1. 11979年『Nursing : The Philosophy and Science of Caring』(『看護のケアリングの哲学と科学』
  2. 21985年『Nursing : Human Science and Human Care-A theory of nursing』(『ワトソン看護論─人間科学とヒューマンケア』)
  3. 31999年『Postmodern Nursing and Beyond』

 

上記のうち、①は看護学生のための講義録として書き出したものである。

 

また、②は日本語版のみならず、ドイツ語、スウェーデン語、中国語、韓国語にも訳されており、世界中の看護師に読まれ、受け入れられている。

 

 

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本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『新訂版 実践に生かす看護理論19 第2版』 編著/城ヶ端初子/2018年11月刊行/ サイオ出版

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