「気道浮腫」による気道閉塞は、フィジカルアセスメントだけで見抜けるの?
『いまさら聞けない!急変対応Q&A』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は気道浮腫による気道閉塞をフィジカルアセスメントのみで見抜けるかについて解説します。
牛島めぐみ
白十字病院 看護部/集中ケア認定看護師
「気道浮腫」による気道閉塞は、フィジカルアセスメントだけで見抜けるの?
かなりの精度で見抜けます。奇異呼吸、チアノーゼ、喘鳴や狭窄音は、気道閉塞のサインです。長期に人工呼吸管理を行っていた患者の場合、抜管後に起きやすいです。
気道閉塞とは
気道閉塞は、舌根沈下や分泌物、浮腫などによって気道が塞がれ、十分な呼吸ができなくなることをいいます。
気道が閉塞して十分な呼吸ができなくなると、体内に酸素を取り込めないため、生命の危機的状況に直結します。そのため、気道閉塞が疑われた場合は、迅速な対応が求められます。異変にいち早く気づくことが必要です。
気道浮腫は、気道閉塞を起こす原因の1つで、気管挿管の刺激、外傷、薬剤性、喉頭周囲の炎症、頸部腫瘤、大動脈瘤などにより発生します。
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気道閉塞の症状
気道閉塞を起こした患者の症状で、特徴的なのが奇異呼吸(シーソー呼吸)です。奇異呼吸は、吸気時に陰圧になった胸腔内が、気道閉塞によって大気に開放されず、胸壁が肺内に引っ張られることで発生します。奇異呼吸は、気道閉塞の末期状態であり、多くの場合、チアノーゼを伴います。
なお、気道閉塞の初期には、喘鳴、狭窄音(ストライダー、stridor)が出現します。
気道が開通しているかを判断するために、これらの症状があるか、発声できるか、舌根沈下を起こしていないか、などの視点で必ず観察していきます。
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抜管後の気道浮腫
人工呼吸管理を行っていた患者の場合、特に注意が必要です。全身状態が改善して抜管まで至った患者でも、呼吸不全や心不全だけでなく、気道閉塞によって再挿管が必要となる場合があるためです。再挿管は、患者に苦痛をしいるだけでなく、ICU滞在日数や医療費の増加を招くことから回避したい事象であるため、観察ポイントはおさえておきましょう。
全身状態安定後、抜管可能かどうか判断する方法として、カフリークテストがあります(表1)。
長期間の気管挿管で気道浮腫のリスクが高い場合や、カフリークテストで異常がみられた場合は、抜管12~24時間前のステロイド投与やアドレナリンの吸入など、予防策を講じる必要があります。
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[出典] 『いまさら聞けない!急変対応Q&A』 編著/道又元裕ほか/2018年9月刊行/ 照林社