最終更新日 2018/08/23

フィジカルアセスメント

フィジカルアセスメントとは・・・

フィジカルアセスメント(ふぃじかるあせすめんと/physical assessment)とは、ヘルスアセスメントの一部であり、身体診査技術(問診・視診・触診・打診・聴診など)を用いて、健康上の問題を査定・評価することである。「フィジカル(身体的な)」「アセスメント(査定・評価)」という言葉の意味を含む。

 

フィジカルアセスメントの順番は、患者の負担の少ないものから行うのが原則である。一般的な順番は、問診→視診→触診→打診→聴診となる。腹部のフィジカルアセスメントのみ、打診・触診による腸蠕動への影響や、触診による痛みの出現を考え、聴診を打診・触診より先に行い、問診→視診→聴診→打診→触診の順となる。

 

問診

問診とは、患者の主訴、既往歴家族歴、生活歴など、患者の話を聴くことで情報を得ることである。得た情報から患者の主訴の原因を推測し、緊急性を判断することもできる。問診時の質問には、患者が自分の言葉を用いて自由に語ることのできる開かれた質問と、患者が「はい」「いいえ」で簡単に答えることのできる閉じられた質問の2種類があり、目的に応じて使い分けることが望ましい。開かれた質問では、患者の関心事や感情、体験したことの意味づけを聴くことができる。また、患者が症状などで多くを語ることが難しいとき、閉じられた質問で具体的な項目を確認することで、効率的に情報を得ることができる。

 

視診

視診とは、視覚を用いて身体の形態や機能に異常がないか、疾患などの徴候が現れていないかを意図的に観察することである。外観から身体を観察する際には、左右の比較を行いながら、異常部位の大きさ、形、色、位置、左右対称性に留意することが重要である。また、外観からの身体の観察だけでなく、表情や会話、身なりから、意識状態や認知機能のアセスメント、さらに心理社会的側面のアセスメントにもつなげる。

 

触診

触診とは、患者に直接触れて身体各部の特徴を判断することである。手の触覚、振動覚、温冷覚を用いて、皮膚や外部にある腫瘤の性状や温度、内部の臓器や腫瘤の形状や可動性、拍動・振動の有無、圧痛の有無や程度を把握する。目的に応じて、指先、指の付け根、尺骨側表面、手背など、用いる手の部位を使い分ける。

 

打診

打診とは、患者の身体の表面を叩いて振動を与え、それにより生じた音を聴き取り内部の状態を知ることである。打診によって、内部臓器の大きさや位置、密度を知ることができる。主な打診音には、共鳴音、濁音、鼓音がある。打診を行う際には、自分の利き手でないほうの中指の近位指節間関節までを患者の皮膚に密着させる。利き手の中指で患者の皮膚に密着させた中指の遠位指節間関節を素早くかつ短く打ち、確実に共鳴音が得られる部位から始め、徐々に濁音が存在すると思われる部位に近づけ、濁音界の輪郭を明確にするように行う。打診は左右交互に行い、左右差を確認する。

 

聴診

聴診とは、聴診器を用いて患者の身体内部の音を確認し、その状態を推測することである。主に呼吸音、心音、血管音、腸蠕動音を聴取するために行う。呼吸音、心音、腸蠕動音など高音を聴取する際には、聴診器の膜型を用いる。膜型を使用する際には、皮膚との間に隙間が生じないようしっかりと押し当てる。過剰心音のⅢ音やⅣ音など低音を聴取する際には聴診器のベル型を用いる。ベル型は皮膚に軽く当てしっかりと密着させて使用する。

執筆: 鷲田幸一

神戸女子大学 看護学部看護学科助教

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