類天疱瘡|水疱症②
『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回は類天疱瘡について解説します。
立石千晴
大阪公立大学大学院医学研究科皮膚病態学
鶴田大輔
大阪公立大学大学院医学研究科皮膚病態学
Minimum Essentials
1皮膚の表皮と真皮の境にある基底膜部の蛋白に対する自己抗体により、皮膚や粘膜に水疱やびらん、紅斑を生じる自己免疫性水疱症である。
2高齢者の体幹四肢などにかゆみを伴う浮腫性紅斑や緊満性水疱、びらんが多発する。
3治療は、ステロイド内服療法および外用療法である。
4慢性に経過するため、ステロイド薬を長期内服する。副作用に注意が必要である。
類天疱瘡とは
定義・概念
皮膚の表皮と真皮の境にある基底膜部の蛋白に対する自己抗体により、皮膚や粘膜に水疱やびらん、紅斑を生じる自己免疫性水疱症。
皮膚を中心に水疱・びらんができる水疱性類天疱瘡と、口腔や目の粘膜を中心に水疱・びらんができる粘膜類天疱瘡に分類される。
原因・病態
皮膚の基底膜部にあるBP180やBP230という蛋白に対し自己抗体がつくられ、水疱やびらんが生じる。
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診断へのアプローチ
臨床症状・臨床所見
高齢者の体幹四肢などにかゆみを伴う浮腫性紅斑(膨隆した赤い皮疹)や緊満性水疱(破れにくい水ぶくれ)、びらんが多発する(図1)。
口腔内や目などの粘膜に水疱やびらんが生じることがある。
検査
病変部の生検病理組織では表皮と真皮の境界に水疱が形成される。蛍光抗体法で、基底膜部に自己抗体が沈着している。患者血液中に抗BP180抗体を認め、その抗体価は病勢のモニタリングに有用である。血中好酸球増多がみられる。
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治療ならびに看護の役割
治療
おもな治療法
ステロイド内服療法を用いる。DDS(レクチゾール®)、免疫抑制薬、血漿交換療法、免疫グロブリン大量静注療法などを併用することもある。ステロイド外用療法も有効である。
合併症とその治療法
長期にステロイド薬を内服するため、免疫低下による感染症や糖尿病、骨粗鬆症など副作用に注意が必要である。
治療経過・期間の見通しと予後
天疱瘡に比較すると治療への反応が良好であるが、高齢者に好発することから合併症や副作用に注意が必要である。
看護の役割
天疱瘡に準じる。高齢者の場合、服薬指導が重要であり、家族の理解協力が必要になる。
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本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。
[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂