低体温|胎外生活不適応状態へのケア①
『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』(サイオ出版)より転載。
今回は胎児期の低体温ケアについて解説します。
立岡弓子
滋賀医科大学医学部看護学科教授
岡山久代
筑波大学医学医療系教授
不適応症状が生じやすくなる時期
胎児期は、子宮内で臍帯や胎盤を通じて母体から栄養や酸素を供給されていることや、代謝機能においても母親の肝臓や腎臓により多くの役割を担ってもらっている。
そのため、出生直後の新生児は、母親の子宮内で守られていた環境から子宮外の生活に適応していく時期である出生後24時間に、多くの不適応症状が生じることがある。
目次に戻る
低体温
分娩直後、児の皮膚の表面が羊水で濡れていたり、分娩室の温度が低くなりやすいこと、出生直後の新生児の代謝機能は低下していることから、低体温に陥りやすい(図1)。
新生児の皮膚の色
低体温の児でも、体幹の皮膚色が蒼白であっても、顔面が紅潮しているケースがある。これは、低体温によりヘモグロビンと酸素の結合能力が高まり、酸化ヘモグロビンが多くなることで、酸素飽和度が高まることによる。顔色が良好であっても、他の皮膚の色を観察することが大切である。
とくに、分娩後1時間30分から2時間にかけては低体温になりやすい(「早期母子接触・早期授乳」参照)(図2)。
出生後は、速やかに児を温かいタオルで拭き、保温してあるインファントウォーマーの下で処置を行う(具体的な保温方法については、「保温」参照)。
低体温症状の特徴
①呼吸が速くて浅表性、ときに無呼吸になりやすい。
②徐脈になりやすい。
③皮膚が蒼白で冷たい。
④初回の哺乳時に吸啜力が弱い。
⑤なんとなく元気がない。
⑥排尿がない。
⑦低血圧。
目次に戻る
本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 周産期ケアマニュアル 第3版』 編著/立岡弓子/2020年3月刊行/ サイオ出版