妊婦血糖検査(妊娠糖尿病の管理)|産婦人科の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、妊婦血糖検査について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
妊婦血糖検査とはどんな検査か
- 妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見される糖代謝異常である。
- 妊娠前から糖尿病と診断されている場合や妊娠中に“明らかな糖尿病”と診断された場合は含まれない。
- 妊婦の7~9%は妊娠糖尿病と診断され、最近増加傾向である。
- 妊娠糖尿病は今回の妊娠中にいろいろな合併症を起こすばかりでなく、母親や胎児の将来の糖尿病、メタボリック症候群の発症に関係する。
- 糖尿病と同様に、随時血糖、75gブドウ糖負荷試験、HbA1cなどを検査する。
妊婦血糖検査の目的
妊婦血糖検査の実際
- 随時血糖:フッ化ナトリウム入り採血管に採血して、血漿を用いて血糖を測定する。
- 産後6~12週後にブドウ糖負荷試験:空腹時に採血して負荷前、ブドウ糖75gを溶かした溶液を飲み、負荷30、60、120分後に採血して血糖値を測定する。
妊婦血糖検査前後の看護の手順
- 妊娠糖尿病では胎児が巨大となったり、心筋症、発育遅延、奇形を合併することを説明する。
- 妊娠中の食事、運動、生活習慣の改善、厳密な血糖コントロールを指導する。これにより、妊娠合併症や将来の糖尿病発症を予防する。
- 妊娠糖尿病の新生児は生後すぐに低血糖や呼吸困難になりやすいことを説明する。
妊婦血糖検査において注意すべきこと
- 妊娠早期に随時血糖を測定して、高値の場合にはブドウ糖負荷試験を行うばかりでなく、妊娠中期にもう一度スクリーニング検査を行う。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版