血液検査2( LH-RH負荷試験、TRH負荷試験)|産婦人科の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、血液検査( LH-RH負荷試験、TRH負荷試験)について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
- 血液検査( LH-RH負荷試験、TRH負荷試験)とはどんな検査か
- 血液検査( LH-RH負荷試験、TRH負荷試験)の目的
- 血液検査( LH-RH負荷試験、TRH負荷試験)の実際
- 血液検査( LH-RH負荷試験、TRH負荷試験)前後の看護の手順
- 血液検査( LH-RH負荷試験、TRH負荷試験)において注意すべきこと
血液検査( LH-RH負荷試験、TRH負荷試験)とはどんな検査か
- LH-RH負荷試験は続発性卵巣機能低下症におけるLH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)の予備能検査として行われる。
- TRH負荷試験は下垂体からのTSH(甲状腺刺激ホルモン)とPRL(プロラクチン)の分泌反応により視床下部-下垂体-甲状腺系における機能障害の部位を推測することができる。
血液検査( LH-RH負荷試験、TRH負荷試験)の目的
- 女性の無月経や不妊の場合に、LH-RH負荷で下垂体からのLH、FSHの分泌が低下している場合は中枢性(視床下部や下垂体)の排卵障害が疑われる。
- LH-RH負荷で、LH/FSH基礎値の比が2以上で、LH-RHに対するLHの過大反応である場合には多嚢胞性卵巣症候群の補助診断となる。
- 合成TRHの負荷によりTSHが無~低反応である場合には下垂体性甲状腺機能低下症と診断する。
- 高PRL血症において、PRL産生下垂体腫瘍と特発性高PRL血症や薬剤などによる二次性高PRL血症との鑑別に参考となる。
血液検査( LH-RH負荷試験、TRH負荷試験)の実際
- LH-RH負荷試験は、負荷前、LH-RH100μgを静注した30、60、90(120)分後に採血してLH、FSHを測定する。
- TRH負荷試験は、負荷前、合成TRH200μgを緩徐に静注後30分、60分の採血を行い、TSHを測定する。
血液検査( LH-RH負荷試験、TRH負荷試験)前後の看護の手順
- 負荷試験では患者の不安を軽減するとともに、患者の協力が得られるように十分な説明をすることが重要である。
- TRH負荷試験の副作用として、まれに頭痛、悪心、動悸、ほてり感があるが、1~2分で自然消失する。
血液検査( LH-RH負荷試験、TRH負荷試験)において注意すべきこと
- LH-RH負荷試験で正常反応でも機能低下症は除外できない。
- TRH負荷試験は妊婦では禁忌であり、巨大下垂体腺腫ではTRH負荷試験が契機となって下垂体卒中(出血)を起こすことがあり、実施すべきでない。
- 正常ではTRH負荷後120分のFT3は、負荷前に比べて20%以上低下する。
- 視床下部性甲状腺機能低下症の場合、120分のFT3が低下することがある。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版