排卵とは・・・
排卵(はいらん、ovulation)とは、成熟した卵胞がホルモンの働きにより卵巣から排出されることである。
しくみ
成熟した卵胞は、卵巣の表面に突出して破裂する。中にあった卵子が飛び出して排出される(図1)。
排卵とホルモンの関係
排卵に関わるホルモンは、
・ゴナドトロピン放出ホルモン(Gonadotropin releasing hormone;GnRH):視床下部で産生され、下垂体前葉での黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンの産生分泌を促進させるホルモン。
・黄体形成ホルモン(luteinizing hormone;LH)
・卵胞刺激ホルモン(follicle-stimulating hormone;FSH)
・エストロゲン(estrogen):卵胞ホルモン
などである。
非排卵期(卵胞を育てる期間)と排卵期(卵胞が成熟し受精可能な卵ができた状態)では、それぞれのホルモンの放出するしくみが異なる。
非排卵期
視床下部からゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)が放出されると下垂体から黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)が放出され、卵胞に作用してエストロゲンが産生される。エストロゲンの濃度が上昇すると、視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモン放出を抑制するシグナルが出る。これにより黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、エストロゲン全ての放出が抑制され、元の濃度へ戻る。このように非排卵期は濃度を一定に保とうとする。
排卵期
排卵期は、卵胞が成熟しエストロゲン産生が活発である。ゴナドトロピン放出ホルモンが放出され、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモンが放出しエストロゲンが産生されると、非排卵期よりもエストロゲン濃度が高い状態となる。この濃度の高さで視床下部は「卵胞は成熟した」と感知し、下垂体により多くの黄体形成ホルモンを放出するよう命令する。このように、より多くの黄体形成ホルモンが放出されることをサージと呼び、このLHサージがホルモンバランスに変化をもたらし、排卵を誘発する。
排卵と子宮の関係
子宮は受精卵を育てるベッドとしての役割があり、排卵後に受精卵が着床する際に最もふかふかな状態(増殖期)である必要がある。子宮はこの増殖期と、ふかふかな状態からいったんリセットする時期である月経期、さらに排卵を期にさらにふかふかにする分泌期を繰り返している。
排卵時期
月経28~30日周期の場合の排卵の時期は直近の月経開始から10~14日前である。月経不順の場合は、基礎体温や超音波検査による卵胞状態を確認して推定する。
図1卵子の成熟過程と排卵