骨盤部MRI|産婦人科の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、骨盤部MRI検査について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
骨盤部MRI検査とはどんな検査か
MRI検査のうちの骨盤内臓器の検査である。膀胱、女性では子宮、卵巣、胎児、男性では前立腺の検査が多い。
放射線被曝がないので若年者、生殖可能年齢者、良性疾患での繰り返しでの検査に使用しても問題はない。ただし、妊娠3か月までの器官形成前の胎児への安全性は確定されていないので禁忌である。また、MRIは組織分解能が高いので造影剤なしに高いコントラスト画像が得られる。骨、空気によるアーチファクトを受けないなどの利点もある。
骨盤部MRI検査の目的
女性では子宮(図1)、卵巣(図2)の腫瘍などの存在および鑑別診断、悪性腫瘍の病期診断、妊婦における胎盤疾患や胎児病変(図3)の診断、男性では前立腺肥大や前立腺癌(図4)の存在あるいは病期診断に多く用いられている。また、膀胱腫瘍(図5)の存在診断および病期診断にもよく用いられる。他にも直腸、大腸など骨盤内臓器の画像診断にも用いられる。
図1a子宮疾患のMRI 子宮筋腫 T₂強調画像
筋腫は子宮筋層内に辺縁明瞭な低信号腫瘤(矢印A)として描出されている。
子宮腺筋症は子宮体部後壁の辺縁不明瞭な低信号の壁肥厚(矢印B)として描出されている。筋腫と腺筋症の鑑別にMRIは有用である。
図2卵巣腫瘍のMRI 左卵巣の成熟奇形腫(矢印A)と内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)(矢印B)
成熟奇形腫は脂肪成分を含むのでT₂およびT₁強調画像で高い信号を呈し、脂肪抑制T₁強調画像で脂肪が抑制され低信号になっている。
内膜症性嚢胞は血液成分なので、T₂強調画像で低信号、T₁強調画像では高信号を呈し、脂肪抑制画像では信号の低下はみられず、高信号のままである。
このようにMRIでは脂肪や血液成分を診断することができ、卵巣腫瘍の鑑別診断に有用である。
後部尿道弁の胎児のMRIで、拡張した膀胱(矢印A)および尿管(矢印B)がみられる。
T₂強調画像で前立腺の辺縁域の高信号内に低信号領域(矢印A)がみられ、拡散強調画像で低信号領域に一致して高信号(矢印B)がみられる。
前立腺癌の所見である。MRIでは造影剤なしに前立腺癌を描出できPSA高値患者のスクリーニングや前立腺癌の病期診断に有用である。
膀胱の右側壁に内腔に突出する広基性の乳頭状の隆起(矢印A)がある。T₂強調画像では膀胱壁の低信号よりやや高信号で、拡散強調画像では高い高信号を呈している。T₂強調画像では膀胱壁の低信号は保たれており(矢印B)壁外への浸潤がないことがわかる。造影剤により不均一に濃染している。膀胱腫瘍の存在診断や病期診断にMRIは用いられる。
骨盤部MRI検査の実際
通常のMRI検査と同様である。検査台に横になり骨盤検査用のコイルを装着しボアに入り、様々なシーケンスで撮像する。造影検査の場合には血管を確保し造影剤を注入して撮像を行う。前立腺の検査では直腸内に前立腺用のコイルを挿入することもある。
骨盤部MRI検査前後の看護の手順
他部位のMRI検査と同様である。MRI禁忌でないことを確認し、着替えて磁性体を伴わないようにして検査室へ誘導する。
骨盤部MRI検査において注意すべきこと
他部位のMRI検査と同様である。造影剤を使用するときの注意も同様である。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
この記事を読んだ人のおすすめセミナー
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版