マンモグラフィ(乳房撮影)|産婦人科の検査

『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、マンモグラフィについて解説します。

 

高木 康
昭和大学医学部教授

 

〈目次〉

マンモグラフィとはどんな検査か

マンモグラフィ(mammography;MMG)は乳房の単純X線検査である。

 

現在では乳房撮影専用の装置を用いて撮影する。病変と乳腺のX線吸収値の差が小さい、また、微細な石灰化を描出させるため、モリブデンやロジウムをターゲットに用いて、きわめて低い管電圧(30KVp程度)で小さな焦点で撮影する。さらに乳腺と病変とのコントラストを上げるため乳房を圧迫板と検出器の間(図1)で挟み扁平にして撮影するので痛みも伴う。

 

図1乳房撮影専用装置

乳房撮影専用装置

 

乳房を圧迫板と検出器の間で挟み圧迫して扁平にして撮影する。

 

マンモグラフィの目的

乳房の画像診断の基本である。検診および有症状者のすべてに適応がある。乳腺と乳癌とのX線吸収値が近いので、乳腺の豊富な乳房では病変を描出できないことがある。しかし、石灰化の検出率は高い。

 

図2は典型的な乳癌のMMG所見である、多形性区域性石灰化、スピキュラを伴う腫瘤、構築の乱れを示す。

 

図2典型的な乳癌

典型的な乳癌

 

a:微細な大小不動で様々な形態のいわゆる多形成の石灰化が区域性に広がっている(矢印)、b:分葉形で毛羽立ち(スピキュラ)を伴う腫瘤(矢印)がみられる、c:構築の乱れ(矢印)を示す。

 

マンモグラフィの実際

乳房撮影専用装置で乳房を圧迫板と検出器の間で挟み圧迫して扁平にして撮影する。

 

通常は内外斜位方向(mediolateral oblique view;MLO)および頭尾方向(craniocaudal view;CC)の2方向撮影が行われる。追加の撮影として腫瘤の性状をよりよくするための圧迫スポット撮影、石灰化を詳細に検討するための拡大撮影、あるいは病変の解剖学的位置により内外方向(mediolateralview;ML)などが行われる。

 

マンモグラフィ前後の看護の手順

衣服が写らないよう上半身裸になってもらいMMG専用のケープを着用する。良い画像を得るために乳房の圧迫が必要でそのために痛みを伴うことがあることを十分に説明する。また、拡大撮影などの追加撮影行われることがあることも説明する。ポジショニングおよび撮影は放射線技師が行う。

 

マンモグラフィにおいて注意すべきこと

マンモグラフィの読影は正しいポジショニングで左右対称に、また、適切な撮影条件で撮影された画像でなければ正しい診断ができないことが多く、病変がないのに異常があるように見える偽陽性や、病変があっても撮影範囲に入っていないあるいは撮影条件が悪い、圧迫が弱く乳腺に重なり見えないなどの偽陰性の診断が起こる。

 

したがって、乳房の圧迫と正しいポジションでの撮影が重要であること理解しておく必要がある。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版

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