最終更新日 2019/12/20

乳腺

乳腺とは・・・

乳腺(にゅうせん、mammary gland)は、乳房の中で乳汁産生をする組織である。

 

構造・役割

乳腺は、乳汁を産生する小葉、乳汁の通り道となる乳管、そしてそれぞれを支える結合組織からなる。小葉は乳汁産生構造の最小単位である腺房と、終末乳管と呼ばれる小葉から乳汁を排出する導管からなる。乳管は乳頭から分岐を繰り返し、小葉に至る(図1)。

乳腺は乳管と小葉、それらを繋ぐ間質成分からなる。乳管は乳管上皮細胞(乳管を構成する細胞)からなり、小葉は腺房上皮細胞(乳汁産生する細胞)からなる。乳管から小葉へ移行する終末の乳管を終末乳管という。小葉で乳汁が作られ、乳管を通って乳頭へ運ばれる(図1)。乳がんなどの増殖性乳腺疾患は、終末乳管や腺房上皮に発生することが知られているが、乳がんと乳腺症は直接的な因果関係がない。

 

女性ホルモンと乳腺

プロゲステロンは腺房を増殖させる
エストロゲンは乳管を増殖させる
月経前に乳房に緊満感や痛みを自覚するのは、この2つの女性ホルモンの上昇が原因である

乳腺は、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンに深く関係している。共に第2次性徴の思春期を迎えると分泌量は増加、そして乳腺が発育し、その頃から初潮が始まる。エストロゲンは乳管上皮を増殖させ、プロゲステロンは腺房上皮を増殖させる。月経前に乳房の張りや痛みを自覚するのは、エストロゲン、プロゲステロンともに分泌亢進しているためである。

 

主な乳腺疾患

代表的な3疾患について、簡単に解説する。

 

・線維腺腫:非悪性疾患で、乳房内のしこりを主訴とする。20~30歳代に好発し、片側、両側ともに生じうる。

・乳腺症:非悪性疾患で、乳房の自発痛、圧痛を主訴とする。30歳代~閉経前後に好発し、多くは両側に生じる。

・乳がん:悪性疾患で、乳房内のしこりや血性乳汁などを主訴とする。40~60歳代に好発。多くは片側性である。

 

図1乳房の構造

乳房の構造

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