奇形腫とは・・・
奇形腫(きけいしゅ、teratoma)とは、腫瘍性胚細胞が体細胞系へ分化したものである。胚細胞(卵子や精子)のもとになる細胞が腫瘍化したもので、半数以上は性腺(卵巣や精巣)に発生する。どのような部位にも分化できる細胞が由来なので、一つの腫瘍の中に神経系成分や脂肪成分、骨や歯の成分など色々な組織が集まっているのが特徴である。
種類
以下、卵巣における成熟奇形腫と未熟奇形腫について説明する。
成熟奇形腫
成熟奇形腫は、1つ以上(通常2つ以上)の胚葉由来の十分に分化した腫瘍である。通常、硬い腫瘤が形成され、その中に軟骨、脂肪、骨成分などが含まれている。全卵巣腫瘍の約40%を占め、基本的には良性でありほとんどは手術により治癒するが、1~2%に悪性転化が見られる1)。悪性転化例の約80%は扁平上皮がんである2)。
未熟奇形腫
未熟奇形腫は、発生段階の胎児組織に類似した未分化な成分からなる。卵巣腫瘍ではまれであり卵巣奇形腫全体の3%未満であるが、基本的には悪性であり再発率も高い。
引用参考文献
1) 武谷雄二ほか編.プリンシプル産科婦人科学 1.第3版,メジカルビュー,2005,920p.
2)本山悌一ほか編.奇形腫.腫瘍病理鑑別診断アトラス 卵巣腫瘍.文光堂.2012,130.