最終更新日 2019/12/20

チョコレート嚢胞

チョコレート嚢胞とは・・・

チョコレート嚢胞(ちょこれーとのうほう、ovarian chocolate cysts)とは、子宮内膜症における卵巣病変を指す。

嚢胞内容液が肉眼的にチョコレートのような暗赤色に見えるため呼ばれることが多いが、一般的には子宮内膜症性嚢胞(endometrial cyct)で知られている。20~40歳代の女性に好発する。

また、チョコレート嚢胞の約1%が、明細胞腺がんや類内膜腺がんへと移行することが報告されている。

 

原因

チョコレート嚢胞の病態の本因は子宮内膜症の存在であり、卵巣に子宮内膜様組織が発生し、これが月経のたびに出血、貯留を繰り返すため卵巣内に貯留嚢胞を形成する。
また、チョコレート嚢胞の約1%が、明細胞腺がんや類内膜腺がんへと移行することが報告されている。特に40代で4cm以上の場合は留意して観察を行う。

 

症状

月経痛の増強や性交痛、排便痛などが主訴となる。また、チョコレート嚢胞は不妊の要原因の一つとしても重要視されている。

 

検査・診断

上記症状を有した場合に、エコー・MRI検査などを行い、嚢胞の有無やサイズ、性状、周囲臓器との癒着を評価する。また血液検査では、病態の重症度や悪性所見の鑑別の際にCA125などの腫瘍マーカーの測定も行う。

 

治療

治療は、鎮痛、エストロゲン量をコントロールするためのホルモン療法(低容量ピル・黄体ホルモン)、手術による病変切除などである。患者の年齢、嚢胞の大きさ、挙児希望の有無などによって経過観察、薬物療法、外科的手術による病変切除のいずれかを選択する。病変切除の場合は、根治性と卵巣機能温存の必要性を考えた上で術式(腹腔鏡手術など)を決定する。

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