尿路ストーマ造設が必要な疾患にはどのようなものがあるの?
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、尿路ストーマの造設が必要な疾患について解説します。
尿路ストーマ造設が必要な疾患にはどのようなものがあるの?
尿路の悪性疾患や尿路の閉塞,尿失禁が尿路ストーマの造設の適応となります.
膀胱や尿道,尿管の摘出が必要な場合には,尿路変向術を行います.
その他,尿路の狭窄や閉塞,膀胱機能に異常をきたした場合に,尿失禁などのQOL改善,腎機能保持を目的に尿路ストーマを造設する場合があります.
解説
尿の輸送が障害されると,水腎症から腎機能障害をきたします.蓄尿障害からの尿失禁や,二次的膀胱障害(肉柱形成,膀胱憩室など),水腎症を予防するために尿路ストーマが必要になります.
尿路変向術が必要となる疾患は,尿路の悪性疾患(膀胱がん,尿管がん,前立腺がんなど)により膀胱や尿管など尿路の一部を取り除く場合や,膀胱や尿路周囲臓器の悪性腫瘍(子宮がん,直腸がん,結腸がんなど)が尿路まで進展していたときです.
術式としては,回腸導管や尿管皮膚瘻,代用膀胱(導尿型・自排尿型),尿管S状結腸吻合術,腎瘻があげられます.
隣接臓器の悪性腫瘍による尿路閉塞があり,腎機能を温存する場合には膀胱瘻や腎瘻を造設します.
二分脊椎などの先天性疾患,神経因性膀胱,萎縮膀胱,膀胱腟瘻などの結果,膀胱機能に異常をきたし,尿失禁などのQOLが悪い状態を改善させる場合には,膀胱拡大術や代用膀胱などが造設されます(表1).
[参考文献]
- 1)日本ストーマリハビリテーション学会編.ストーマリハビリテーション学用語集.第2 版.金原出版,2003.
- 2)西沢理監.泌尿器Nursing Note.改訂2 版.メディカ出版,2010,47─8.
- 3)ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編.ストーマリハビリテーション実践と理論.金原出版,2006.
- 4)塚田邦夫ほか編.ストーマ手術アトラス.へるす出版,2002.
- 5)伊藤美智子編.ストーマケア.学習研究社,2003,(Nursing Mook, 15).
- 6)日本ET/WOC協会編.ストーマケア エキスパートの実践と技術.照林社,2007.
- 7)原田俊子編.実践 尿路ストーマケア.ウロナーシング冬季増刊.メディカ出版,2000.
[Profile]
末平 智子 すえひら・ともこ
関西医科大学附属枚方病院看護部看護師長/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行