消化管ストーマ造設が必要な疾患にはどのようなものがあるの?
『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95』より転載。
今回は、消化管ストーマの造設が必要な疾患について解説します。
消化管ストーマ造設が必要な疾患にはどのようなものがあるの?
腸管や骨盤内臓器の悪性疾患,良性疾患があげられます.
消化管ストーマの場合は,肛門機能が温存できるかが,永久的ストーマか一時的ストーマかの判断指標になります.
一時的ストーマは,縫合不全の予防目的や,イレウスの減圧目的,手術施行時の全身状態などで選択されます.
解説
永久的ストーマの適応は,直腸がんや大腸がんなどの骨盤内悪性腫瘍(原発性,転移性),骨盤内良性疾患(炎症,狭窄,機能不全,良性腫瘍など),全大腸に及ぶ疾患(家族性大腸腺腫症,潰瘍性大腸炎など)があげられます.代表的な術式には,腹会陰式直腸切断術(マイルズ手術,APR),ハルトマン手術(状況によってはリバースハルトマン手術が行えることもあります)があります.
一時的ストーマは,予防的人工肛門として,病変部または吻合部に糞便を通過させないように,その口側に造設するもので,直腸切除〔低位前方切除術(LAR),内肛門括約筋切除術(ISR)など〕後の縫合不全予防として造設されます(表1).
また,全身状態不良により一期的腸管吻合が困難な場合,大腸切除後の縫合不全,直腸腟瘻,難治性痔瘻,肛門の外傷などにも造設されます.治療的人工肛門の造設は,イレウス,鎖肛,先天性巨大結腸症などがあげられ,腸管を減圧するために腸閉塞の口側に造設されます(表2).
[参考文献]
- 1)日本ストーマリハビリテーション学会編.ストーマリハビリテーション学用語集.第2 版.金原出版,2003.
- 2)西沢理監.泌尿器Nursing Note.改訂2 版.メディカ出版,2010,47─8.
- 3)ストーマリハビリテーション講習会実行委員会編.ストーマリハビリテーション実践と理論.金原出版,2006.
- 4)塚田邦夫ほか編.ストーマ手術アトラス.へるす出版,2002.
- 5)伊藤美智子編.ストーマケア.学習研究社,2003,(Nursing Mook, 15).
- 6)日本ET/WOC協会編.ストーマケア エキスパートの実践と技術.照林社,2007.
- 7)原田俊子編.実践 尿路ストーマケア.ウロナーシング冬季増刊.メディカ出版,2000.
[Profile]
末平 智子 すえひら・ともこ
関西医科大学附属枚方病院看護部看護師長/皮膚・排泄ケア認定看護師
*所属は掲載時のものです。
本記事は株式会社メディカ出版の提供により掲載しています。
[出典]『ストーマ術後ケア まるっとわかるQ&A95 病棟での困りごとがこれで解決!』(編著)菅井亜由美/2013年4月刊行