二分脊椎とは・・・
二分脊椎(にぶんせきつい)とは、脊椎の形成異常の1つで、神経の通り道(脊柱管)を形づくる椎弓が正中で癒合しない病態である。第5腰椎(L5)、第1仙椎(S1)に好発する。本来であれば胎生期8~10週で左右対称性に生じる椎弓の骨核が成長の過程で互いに癒合する。
脊柱管が正中で欠損している病態のため、脊髄を包む髄膜がむき出しになるが、髄膜の膨隆(髄膜瘤)を認めるか否かで以下のように分類される。
潜在性二分脊椎
外観上は異常を認めず、気づかないまま成人になることが多い。レントゲンで椎弓の正中部に裂け目を確認できるが、MRIで髄膜瘤を認めない。髄膜や神経組織の脱出を伴わないので、治療の対象となることはまずない。
顕在性二分脊椎
外観上背部に膨隆を認め、小児期に指摘されることが多い。膨隆だけでなく、腰殿部の異常発毛などを認めることがあり、新生児、乳児期で皮膚の観察が重要である。水頭症を高率に合併し、夜尿、膀胱直腸障害、下肢麻痺などを伴うこともある。
病態が多岐にわたるため、小児科、脳神経外科、整形外科、泌尿器科等の連携が必要になる。
髄膜瘤
椎弓の離開部を通って髄膜が背部に膨隆しているもの。脊髄や馬尾の位置は正常であり、神経障害を伴わない。原則、治療は要しない。
脊髄髄膜瘤
脊髄や馬尾も髄膜瘤内へ脱出しているもの。背部の膨隆や下肢麻痺のため、生下時に容易に診断される。手術適応である。髄膜瘤が皮膚に覆われている場合(閉鎖性脊髄髄膜瘤)はタイミングを見て待機手術である一方、皮膚欠損を伴い髄膜が外界にむき出しになっている場合は緊急手術である。