ニボルマブ療法(看護・ケアのポイント)/肺がん
この連載では、抗がん剤のポイントや注意点について解説します。
今回は、肺がん(肺癌)の患者さんに使用する抗がん剤「ニボルマブ療法」について、看護・ケアのポイントについて紹介します。
第1話:『ニボルマブ療法(化学療法のポイント)/肺がん』
久保寿夫
(岡山大学病院 腫瘍センター)
- ポイントA:インフュージョンリアクション(infusion reaction)に注意しよう!
- ポイントB:さまざまな免疫関連有害事象に注意しよう!
- ポイントC:有害事象出現のサインを逃さないよう、注意深く観察しよう!
〈目次〉
- 必ず覚えて! ニボルマブ療法の注意点
- ・投与前の注意点
- ・投与中の注意点
- ・投与後の注意点
- ニボルマブ療法時の申し送り時のポイント
- ニボルマブ療法時の看護記録に記載すべきこと
- 患者ケア・看護ケアはココを押さえる
必ず覚えて! ニボルマブ療法の注意点
投与前の注意点
投与前に甲状腺機能異常や自己免疫疾患がある場合、ニボルマブ(オプジーボ)投与にて悪化する可能性があります。そのような疾患がないか、もう一度確認しましょう。
投与中の注意点
投与中にはinfusion reactionが起きていないか、注意して観察しましょう。具体的には、呼吸困難、意識障害、まぶた・唇・舌の腫れ、発熱、寒気、嘔吐、咳、めまい、動悸などです。
これらの症状が出現した場合には、注入速度を緩めるか中止し、主治医に報告の上、重症度に合わせて治療(解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド、アドレナリンなど)を行ってください1)。
ニボルマブ療法のポイントA
- ニボルマブは、インフュージョンリアクション(infusion reaction)に注意しよう!
投与後の注意点
投与後にはさまざまな免疫関連有害事象が出現することがあります。
具体的には、重症筋無力症、筋炎、大腸炎、1型糖尿病、甲状腺機能障害、間質性肺疾患、肝機能障害、神経障害などです。自覚症状の有無、定期的な血液検査などで見逃さないよう注意しましょう。
ニボルマブ療法のポイントB
- ニボルマブは、さまざまな免疫関連有害事象に注意しよう!
ニボルマブ療法時の申し送り時のポイント
ニボルマブ(オプジーボ)投与時のinfusion reactionの有無については必ず伝えましょう。もしあった場合は、どの程度のものだったかを伝えることが大切です。その他、自己免疫疾患などの有無や、今回投与時の有害事象などについても伝えるようにしましょう。
申し送り例
1サイクル目のニボルマブ(オプジーボ)投与を行った患者さんです。ニボルマブ(オプジーボ)投与開始20分後に息切れ、顔面のほてりが出現し、infusion reaction(Grade 2)と判断しています。
ニボルマブ(オプジーボ)を投与中止し、ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬)やヒドロコルチゾン(ステロイド)、アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)の投与で、症状は速やかに回復しました。
次回からはジフェンヒドラミン、アセトアミノフェンの予防投与を行ったうえで治療を継続する予定になっています。次回投与時も十分に注意して投与をお願いします。
ニボルマブ療法時の看護記録に記載すべきこと
来院時の発熱の有無、食事・排便・睡眠の状況などについて確認して記載しましょう。ニボルマブ(オプジーボ)投与中のinfusion reactionの有無、バイタルサインを必ず記載しましょう。
患者ケア・看護ケアはココを押さえる
infusion reactionは、初回投与時とは限らず、2回目以降の点滴のときにも起こり得るため、呼吸困難、意識障害、まぶた・唇・舌の腫れ、発熱、寒気、嘔吐、咳、めまい、動悸などに注意して観察しましょう。
その他の免疫関連有害事象については、一見すると化学療法とは無関係のような有害事象もあるため、注意して観察する必要があります。患者さんの訴えや身体所見など有害事象出現のサインを逃さないように注意しましょう。
ニボルマブ療法のポイントC
- 有害事象出現のサインを逃さないよう、注意深く観察しよう!
- 第1話:『ニボルマブ療法(化学療法のポイント)/肺がん』
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[監 修]
齋藤信也
岡山大学大学院保健学研究科 教授
[編 集]
西森久和
岡山大学病院 血液・腫瘍内科
[執 筆]
久保寿夫
岡山大学病院 腫瘍センター
*本連載では、登録商標マーク®の記載はすべて省略しています。