重症筋無力症とは・・・
重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう/MG/myasthenia gravis)とは、骨格筋が容易に疲労し脱力を生じる疾患である。運動神経と骨格筋の接合部で、神経伝達物質であるアセチルコリンの受容体に対する自己抗体(抗アセチルコリン受容体抗体)があるために信号伝達に障害が生じるために起こる。眼瞼下垂や複視を初発症状とすることが多い。指定難病である。
筋力低下が眼瞼下垂や複視など眼筋にとどまる眼筋型と、嚥下や咀嚼、構音障害や顔面筋麻痺、四肢近位筋の筋力低下、重症では呼吸筋麻痺も生じる全身型がある。症状は午前より午後に症状が強くなる傾向がある。患者の80%で胸腺の過形成、胸腺腫を合併する。
検査
患者の80%で抗アセチルコリン受容体抗体が陽性となるほか、抗アセチルコリン受容体抗体陰性例の40~70%で筋特異的抗チロシンキナーゼ抗体(抗Musk抗体)が陽性となる。また、抗Lrp4抗体が陽性になる症例もある。
誘発筋電図検査では、2~3Hzの反復刺激により徐々にその振幅が減少していくwaning(ウェイニング)現象がみられる。
ほかにコリンエステラーゼ阻害薬の塩酸エドロホニウム(アンチレクス®)を静脈内投与すると一時的に筋力が改善することも特徴である。これをテンシロン(外国でのエドロホニウムの商品名)試験という。眼筋型患者では氷袋にて閉じた眼を2分間冷やすと一時的に眼瞼下垂が改善する(アイスパックテスト)。
治療
抗コリンエステラーゼ薬、ステロイドやタクロリムスなど免疫抑制剤などのほか、重症例では免疫グロブリン大量療法(IVIg)や血液浄化療法も検討される。胸腺腫合併例では胸腺摘出術が選択される。