タクロリムスとは・・・
タクロリムス(たくろりむす)は、シクロスポリンとともに カルシニューリン阻害作用を有する特異的リンパ球シグナル伝達阻害薬である。適応疾患は、臓器移植時の拒絶反応の制御や、ベーチェット病、関節リウマチ、乾癬性関節炎、皮膚筋炎、多発筋炎、全身性エリテマトーデス、クローン病、ネフローゼ症候群など、自己免疫性疾患やサイトカイン異常疾患にも用いられる。副作用としては腎機能障害、高血圧、高血糖、肝障害、高カリウム血症などがある。
タクロリムスは、放線菌(Streptomyces tsukubaensis)由来の抗生物質である。カルシニューリンは酵素の一種で、活性化T細胞の核内因子(nuclear factor of activated T cell、NF-AT)を脱リン酸化させる働きがある。脱リン酸化されたNF-ATは、核内へ移行してインターロイキンなどサイトカインの産生を促進する。タクロリムスは、T細胞内の受容体蛋白質でイムノフィリン(immunophilin)ファミリ―であるFK結合タンパク質(FK-binding protein、FKBP)に結合して複合体を形成しカルシニューリンの活性を阻害する。ちなみに同じ特異的リンパ球シグナル伝達阻害薬であるシクロスポリンが結合するイムノフィリンファミリ―はシクロフィリン(cyclophillin)である。