赤血球の寿命はどれくらい?

『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。

 

今回は赤血球の寿命について説明します。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

赤血球の寿命はどれくらい?

赤血球の寿命は約120日です。老化した赤血球は脾臓で破壊されます。これを溶血(ようけつ)といいます(メモ1)。赤血球の成分はマクロファージメモ2)によって処理されるのですが、この時、すべてが廃棄物になってしまうのではなく、かなりの部分が再利用されます。

 

赤血球に含まれるヘモグロビンは、ヘムとグロビンに分解されます。ヘムの一部はさらに分解され、中に含まれる鉄が血清タンパク質と結合して骨髄に運ばれ、赤血球に再利用されます。

 

ほかの多くのヘムは門脈を通って肝臓に運ばれ、ビリルビンに変換されて胆汁色素として働きます(『黄疸はどのようにして起きるの?』参照)。グロビンの多くはそのまま再利用されます。

 

メモ1溶血

赤血球の膜が損傷され、赤血球の成分が血球の外に流出する現象。 赤血球の老化だけでなく、採血時の急激な陰圧や非適合輸血など でも溶血が起こります。

 

メモ2マクロファージ

血液中の単球が血管内に出るとマクロファージといいます。細菌、 ウイルスに感染した細胞、腫瘍細胞などを食べてしまうことから 貪食細胞とも呼ばれます。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック』 (監修)山田幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

SNSシェア

看護ケアトップへ