赤血球はなぜ中央がくぼんでいるの?
『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。
今回は赤血球の形状について説明します。
山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長
赤血球はなぜ中央がくぼんでいるの?
赤血球は円盤状で、両側の中央が白玉だんごのようにくぼんでいます。赤血球の役割は、呼吸によって肺胞から取り入れた酸素と結びつき、血液の流れに乗って全身の細胞に酸素を届けることです(「血液はどんな仕事をしているの?」、①運搬作用がこれにあたります)。
そのためには、できるだけ表面積を大きくして大量の酸素と結びつき、ガス交換を効率よく行う必要があります。赤血球のくぼみは、同じ体積のまま、表面積を大きくするための工夫なのです。
赤血球に特有のくぼんだ形は、造血の分化段階で核とミトコンドリアを失った結果できたものです。核がないため代謝が極度に押さえられ、自身は酸素を消費することなく、大量の酸素を運べるようになっています。また、核がないので折れ曲がることも可能になり、細い血管を通り抜けたり、血管から組織へ容易に抜け出やすくなっています。
※編集部注※
当記事は、2019年1月14日に公開した記事を、第2版の内容に合わせ、更新したものです。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のためのからだの正常・異常ガイドブック 第2版』 (監修)山田幸宏/2023年8月刊行/ サイオ出版