眼底写真|眼科の検査
看護師のための検査本『看護に生かす検査マニュアル』より。
今回は、眼底写真について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
眼底写真とは
眼底検査の1つ。検査は暗室で行われ、散瞳薬や造影剤を使用するため、十分な観察と患者への説明が必要である。
眼底写真の目的
現在の眼底の状態を把握し、記録に残しておくために行われる。
眼底写真の実際
眼底写真
- ①散瞳薬を使用するので、点眼前に霧視感の出現や、近くが見えにくいなどの随伴症状が出ることについて十分に説明を行う。
- ②検査中は医師の指示に従い、大きく眼を開き、赤い光をしっかりと見ることを説明する。
- ③眼を動かしたり、閉じたりすると検査時間が長くなってしまうことを説明する。
<注意すべきこと>
- 散瞳が十分にされているか確認をする。
- カルテより、白内障、硝子体混濁、角膜混濁の有無などの情報を得る。
- 散瞳した後は歩行に十分に気をつける。
- 検査中に「赤い光を見てください」のみの声かけであると、睫毛が入ってしまうことがあるので、必ず、「眼を大きく開けてください」と声かけする。
- 検査中に迷走神経反射によって気分不快を起こす場合があるので十分に注意する。
- 気分の悪いときにはすぐに伝えるように声をかけておく。
蛍光眼底撮影(FAG)
- ①は眼底写真と同じ。
- ②点滴と一緒に造影剤を静脈に注入した後、何枚も続けて撮影を行う。
- ③検査中は医師の指示に従い、大きく眼を開き、赤い光をしっかりと見ることを説明する。
- ④眼を動かしたり、閉じたりすると検査時間が長くなってしまうことを説明する。
<注意すべきこと>
- 散瞳が十分にされているか確認をする。
- 薬剤アレルギーの有無を確認する。
- カルテより、白内障、硝子体混濁、角膜混濁の有無などの情報を得る。
- 散瞳した後は歩行に十分に気をつける。
- 検査中に迷走神経反射によって気分不快を起こす場合があるので十分に注意する。
- まれに造影剤でアレルギーを起こすことがあるので、十分に観察する。
- 検査後に顔や皮膚、尿が黄色になることがあるが、2〜3日で自然に消失することを説明する。
- アレルギー反応が見られた場合には、パニックにならず、冷静に対応する。
メモフルオレセイン・アレルギー
皮内テストなど皮膚のテストを行っても、検査前にフルオレセインのアレルギーを100%予測することは困難である。アレルギー体質、他の薬剤アレルギーの既往がある場合は十分に注意する。
数回検査を行って初めて出る場合や、前回は症状があっても今回は出ないこともあり、予測は不可能である。
最も重篤な場合がアナフィラキシーショックである。アナフィラキシー様反応では、皮膚症状が初めにみられ、必発する。その後、胸部圧迫感、呼吸困難、急激な血圧低下が出現する。
頻脈を伴う血圧低下が見られる点が、迷走神経反射による血圧低下との鑑別になる。呼吸と脈拍の有無をまず確認し、これがなければ、「救急蘇生のABC」を即座に開始する。
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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版