眼球運動試験|眼科の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、眼球運動試験について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
眼球運動試験とはどんな検査か
眼球は眼窩内に固定されているため変位運動はほとんどできず、眼球運動は回旋点を中心とした回転運動である。眼球は常に両眼同時に運動している。
一眼の内直筋と外直筋のように、一方が収縮すれば他方は弛緩するという相互支配がある。両眼はその運動にあたって、常に等しい神経のインパルスを受けている。
視標(検者の指など)を両眼で注視させ、その運動域を検査する。
眼球運動試験の目的
眼球の運動は筋肉や神経経路に何らかの障害をきたすと正常な運動を行えない。このため、頭部外傷による影響や脳腫瘍、血管障害などの診断にも用いられる。
眼球運動試験の実際
- ①固視させる位置を常に一定にする。
- ②視標を両眼で注視させる。
眼球運動試験前後の看護の手順
- ①眼球の動きを見るための検査であることを説明する。
- ②手術後では時折、眼球を動かすことで痛みを伴う場合もあることを説明する。
- ③必要時には後頭部を後ろから支え、固視させる位置を一定に保つ。
- ④乳幼児や小児の場合は視標にするものを、本人が興味のある玩具や、音の出る物にする。
- ⑤気分不快が生じた場合には直ちに終了する。
メモ眼球運動の種類
- ①衝動性運動:急激な向き運動・随意運動や命令運動に関与する。
- ②滑動性運動:緩徐な向き運動や追従運動に関与する。
眼球運動試験に関する患者との問答例
これから眼球運動試験という検査をします。
どのような検査ですか。
眼の動きを見るための検査です。
どうやればいいのですか。
検査する人が指示を出しますので、それに従ってください。もし、ご気分の悪いことがありましたら、すぐにお知らせください。
はい。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版