眼底検査|眼科の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、眼底検査について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
眼底検査とはどんな検査か
眼底検査の方法には3種類の方法があり、必要に応じて使い分けたり、何種類かを重複して行う。
検査は暗室で行われ、散瞳する場合もあるため十分な説明が必要である。
眼底検査の目的
眼の奥に光を当てて、網膜や網膜の血管、視神経乳頭をはじめ、眼底後極部の詳細を知る検査である。
眼底検査の実際
直像鏡検査
- ①一般的には無散瞳で行うが、必要に応じて散瞳するので十分な説明をする。
- ②視線が定まらないと検査がやりにくいので、暗室に固視灯を設置する。
- ③医師の指示通りの方向を向くように説明する。子供には玩具などを用い、関心を誘い注視させるようにする。
- ④幼児は動いたり手を出さないように、看護師が抱き上げてバンザイの格好で手を挙上し、両上肢ごと頭部を固定する。下肢は看護師の膝関節で挟むように抑えて固定する。親ができる場合にはその旨を説明する。
倒像鏡検査
- ①散瞳薬を使用するので、点眼前に霧視感の出現や近くが見にくいなどの随伴症状が起こることについて十分に説明をする。
- ②医師の指示通りの方向を向くように説明する。
- ③乳幼児の検査には、バスタオル、シーツなどを準備し、四肢が出ないように体に巻きつけ固定する。
スリットによる眼底検査
- ①小さな眼底鏡を眼球に接触させて行う検査であることを十分に説明する。
- ②必要に応じて散瞳する場合があることを説明する。また、点眼麻酔の必要性を説明する。
- ③点眼麻酔薬でショックを起こす場合もあるので、点眼後、気分不快がないか十分に注意する。
- ④検査後、角膜上皮障害、霧視を起こすことがあることを説明する。
- ⑤スリットの顎台に正しく顎をのせ、顎が顎当てから離れたり、動いたりしないように後ろから保持する。
- ⑥眼を細めたり、開眼がうまくできない場合には後ろから眼球を圧迫しないように上眼瞼を引き上げる。
準備するもの
点眼麻酔薬、散瞳薬、眼底鏡、開瞼器など
眼底検査において注意すべきこと
- 散瞳した場合には歩行に十分気をつける。
- 乳幼児の場合は窒息事故を防ぐために口腔内にガム、あめ、菓子などが入っていないか注意する。
- 眼底鏡を使用した場合には感染予防に留意する。
眼底検査に関する患者との問答例
これから眼底検査をします。
それはどんな検査ですか。
眼の奥に光を当てて、眼の底の部分を見る検査です。
痛くはないですか。
痛みは伴いません。必要に応じて目薬で瞳を開くことがあります。
瞳を開いたらどうなりますか。
物がぼやけて見えるようになりますので、歩くときには十分注意してください。薬の効果が切れれば元の状態に戻りますので、ご心配なさらないでください。
はい。
終わりました。ご気分は悪くないですか。
はい、大丈夫です。
※検査前に、車で来院されていないか注意する必要があります。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版