骨塩定量検査|整形外科の検査
『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、骨塩定量検査について解説します。
高木 康
昭和大学医学部教授
〈目次〉
骨塩定量検査とはどんな検査か
骨塩とは骨の強度(密度、ミネラル)のことで、骨密度の測定する検査のことを骨塩定量検査という。
骨粗鬆症による骨量の減少、骨の微細構造の劣化、骨強度が低下し骨折を起こしやすくなった状態を判定できる。
骨塩定量検査の目的
- 高齢者とくに閉経後の女性、治療に伴うステロイドの使用、腎疾患や若い女性の無理なダイエットなど、様々な原因による骨粗鬆症の診断・治療の経過観察。
- ホルモンのバランス異常、あるいは先天性の代謝性骨疾患の診断・治療、病態の解明など治療の効果判定。
骨塩定量検査の実際
- MD(microdensitometry)法:X線写真から測定する。
- 超音波法:踵骨に超音波をあててX線を用いずに、超音波の物理的性質を利用して測定するもので、超音波の骨中の伝導速度の測定、または超音波の骨による減衰の測定の2つの方法がある。
- QCT法(quantitativi CT):T装置を使って測定する。
- DEXA法(dual energy X-rey absorptiometry):低エネルギーX線を利用して骨の密度を測定する検査。一般的な方法である。
①原理
- 2種類のエネルギーピークをもったX線を測定箇所の骨に照射し、透過するエネルギーの減衰から骨塩量を測定する。
- 測定値を標準地と比較することにより、骨塩量を知ることができる。
- 検査結果は、数値だけではなく図でも表され、年齢に対する骨密度の程度がわかる。
- 測定から骨代謝の活発な海綿骨部と、代謝活動の少ない皮質骨部の体積密度を計算でき、海綿骨の変化の早期発見が可能である。
②方法
③測定部位
- 腰椎
- 大腿骨
骨塩定量検査に関して注意すべきこと
- 骨塩量値に誤差が発生するため、造影剤検査後は行わない。
- 測定部位内に入る金属類は、測定値に影響をおよぼすため、検査前に除去する。
・ ズボンのファスナー(ブラジャーやスカートのサイドのファスナーはよい)
・ 貴金属類
略語
- DEXA:dual X-ray absorptiometry
- MD:microdensitometry
- QCT:quantitative CT
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版