三方活栓を何回消毒すればカテ感染を防げる?|第31回日本環境感染学会総会・学術集会より

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閉鎖式三方活栓を無菌状態にするには、アルコール綿で5往復以上の消毒を行うことが有効かもしれない――。2月19日から20日まで京都市で開催された第31回日本環境感染学会総会・学術集会で、前赤十字病院(前橋市朝日町)看護部看護主任・感染管理認定看護師の町田浩美氏が報告した。

(満武里奈=日経メディカル)

 

前橋赤十字病院の町田浩美氏

発表する前橋赤十字病院の町田浩美氏。 

 

血管カテーテルに由来する血流感染を防ぐためには、接続部の消毒が欠かせない。だが、接続部を何回消毒すれば感染を防げるのかを検討した報告は少ない。

 

町田氏らの施設では、入院患者が敗血症性ショックを起こし、末梢静脈カテーテル関連血流感染が疑われたのを機に消毒法の見直しを実施。町田氏は、三方活栓を何回消毒すれば、無菌状態を得られるかを検討した。

 

対象とした菌種は、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、セレウス菌――の4種類。これらの菌を用いてマックファーランド0.5菌液を調製。綿棒を用い、1菌種あたり5個の未使用滅菌済み閉鎖式三方活栓の接続表面に菌液を塗布。自然乾燥させた。

 

消毒回数としては0回(コントロール群)、1方向、2往復、5往復、10往復――を設定。個別包装のアルコール綿を用いて消毒を行った後、三方活栓接続表面を培地に押し付け、培地全体に塗り広げた上で、24時間培養した。菌の培養が確認された場合は、塗布した菌と同一であるかを確認した。同様の操作を3回繰り返した。

 

大腸菌、緑膿菌は1方向以上の消毒で、無菌状態を得ることができた。3回とも同様の結果だった。一方、黄色ブドウ球菌の場合は、2往復の消毒だと3回中1回で菌が発育。5往復以上の消毒を行うことで全例で菌の発育を抑制できた。セレウス菌は、1方向または2往復では全例で菌が認められたが、5往復または10往復の消毒を行うことで、菌が検出される頻度が3回中1回まで減少した。

 

 

これらの結果から町田氏は、「セレウス菌を除き、三方活栓を有効に消毒するには2往復では不十分で5往復消毒すれば有効である可能性が示された」とまとめた。

 

町田氏の施設では今回の結果を踏まえ、三方活栓の消毒方法を指導する際には5往復を1つの目安に指導を行っているという。「消毒する際の力の強さについては個人差があり、消毒回数はあくまで目安でしかない。消毒操作時の力の強さについては今後検討したい」と町田氏は話している。

 

<掲載元>

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