認定看護師の資格手当「あり」は3割、平均5224円

認定・専門看護師および認定看護管理者の3資格があわせて2万人を突破しました。その一方で、認定看護師に対して資格手当を支給している病院はわずか3割程度。平均支給額は5224円(月額)と、看護師の専門性に対して必ずしも十分な報酬が確保できていない状況も浮き彫りになっています。

 

 

認定・専門・認定看護管理者合計で2万人突破

認定看護師とは、熟練した技術と知識を持ってケアを提供する看護師のことです。その知識は主に臨床現場で実践に役立てられます。がん褥瘡など21の分野で認定が行われていて、今年度新たに誕生した1763人を加え、全国で1万5935人が活躍しています。

 

専門看護師は、実践を重視した認定看護師と比べ、より学術的な専門知識を持つ人を差します。大学院の修士課程で学んだ上で、認定を受ける必要があり、現在1466人が登録されています。

 

認定看護管理者とは、看護管理者としての能力を日看協によって認められた人で、2664人の認定者がいます。

 

診療報酬上の算定要件にもなっているものの…

認定看護師などに対する社会的評価は年々高まっています。診療報酬上でも評価が行われていて、2002年の緩和ケア診療加算に盛り込まれたのを皮切りに、「皮膚・排泄ケア」や「がん化学療法」など多くの分野で認定看護師の配置が算定要件に加えられています。

 

このように社会的ニーズが高まっているのに対して、認定を取得した看護師に対する待遇面は必ずしも大きく向上しているとはいえないようです。

 

認定看護師「手当なし」が66%、「3000~5000円」が最多

日看協の「認定看護師の活動及び成果に関する調査報告書」(2012年)によれば、認定看護師のうち何らかの手当てを支給されているのは32.6%、手当を受けていない人が66.3%と、「手当なし」が「手当あり」を大きく上回っていました。

 

手当の月額支給金額は、「3000~5000円未満」が34.6%と最も多く、次いで「5000~1 万円未満」が19.5%、「1万円以上」が15.2%と続いています。最大では1万9000円、最少で1066円、平均値は5224円でした。

 

国立病院などは8割が手当支給、支給が低いのは小児・訪看

病院の設置主体別に見ると、手当を支給している病院で最も多いのは「国」で82%と突出しています。ほかには医療法人、済生会、その他法人が多く、半数程度で手当てが支給されています。

 

最も低いのは日本赤十字社で、手当を支給している割合は8.8%にとどまっています。都道府県・市町村主体の病院も支給率は低く、18%と2割を切っている状況です。

 

病院設置主体別、認定看護師への手当支給の有無

病院設置主体別、認定看護師への手当支給の有無

(出展)日本看護協会 2012年認定看護師の活動及び成果に関する調査報告書

 

手当の支給の有無を、認定の分野別で見ると、「がん性疼痛看護」が最も支給率が高く38.1%です。反対に、支給されている人の割合が低いのは「小児救急看護」と「訪問看護」で、いずれも2割程度にとどまっていました。

 

「訪問看護」や「認知症看護」で高い傾向

一方で、手当の金額で見ると、「訪問看護」や「脳卒中リハビリテーション看護」、「認知症看護」は全体の支給額と比べて1000~2000円ほど高い傾向にありました。これに対して、「がん放射線療法看護」や「新生児集中ケア」では平均より1000円以上低いこともわかりました。

 

分野別の支給額の平均は、「訪問看護」は7543円、「脳卒中リハビリテーション看護」は6479円、「認知症看護」6451円など、いずれも平均金額を1000円以上上回っています。これに対して「がん放射線療法看護」は3678円、「新生児集中ケア」は3757円と、平均よりも1000円以上低いことがわかりました。

 

資格取得支援制度は拡充、「無給」は1割以下

調査からは、資格取得者に対する手当の支給はまだまだ進んでいないことがわかります。その反面、資格取得の支援は広がっていて、資格勉強中にも「出張」や「研修」扱いとし、基本給は支払われるなど、無給の割合は1割以下まで減少しています。

 

診療報酬上での評価が広がるなど、今後ますます認定看護師のニーズは高まることが予想されます。今後は、それに見合った報酬体系が整備されていくのが待たれるところでしょう。

 

日本看護協会(PDF)

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