脳卒中とは・・・
脳卒中(のうそっちゅう、stroke)とは、血管の狭窄・閉鎖、破綻などによって神経症状が発現した急性期の脳血管障害である。脳卒中は、血管の狭窄・閉塞で生じる虚血性疾患(脳梗塞)と、脳血管の破綻による出血性疾患(脳出血、くも膜下出血)に分けられる。
脳卒中は、かつては死因の第1位であったが、現在は悪性新生物、心疾患に次いで日本の死因別死亡率で第3位である。しかし脳卒中患者は増加傾向であり、平成26年度で117万9千人と多く、平成28年の調査では、介護が必要となった原因の第2位となっている。
原因(危険因子)
脳卒中の危険因子としては、基礎疾患(高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動)と、生活習慣(喫煙、大量飲酒、肥満、運動不足)が挙げられる。中でも最も重要なのは、高血圧のコントロールといわれている。
症状
脳卒中でよくみられる症状としては、片側の上下肢の運動障害や感覚障害、呂律障害、高次機能障害(失語・失認・失行)、頭痛、意識障害、視野異常などが突然生じる。特に頭痛や意識障害は出血性脳卒中(脳出血やくも膜下出血)、片麻痺や構音障害、失語は脳梗塞や脳出血でみられることが多い。
検査・診断
脳卒中の確定診断に最も有効なものは画像診断である。脳卒中の疑いがある患者には、まず頭部CTを撮影し、脳出血やくも膜下出血の有無を評価する。しかし、頭部CTは出血の診断には有効だが、発症早期の脳梗塞や小さい脳梗塞は診断困難である。そのため、脳卒中疑いがあるが頭部CTで異常所見はない場合は、頭部MRI撮影を行う必要がある。
治療
急性期の脳出血の治療は降圧治療が中心である。くも膜下出血は降圧以外にも鎮静や鎮痛をしっかり行い、脳動脈瘤の再出血予防のため、血管内治療や開頭手術が行われる。また、脳梗塞は発症4.5時間以内の場合は、血栓溶解療法が有効であり遺伝子組み換え組織プラスミノーゲン・アクティベータ(rt-PA)が使用される。最近では脳動脈主幹部の脳梗塞の場合には、血管内治療(経皮的脳血栓回収術)が行われるようになった。
脳卒中を発症した患者は、後遺症を残すことが多いため、機能の回復と維持のためにはリハビリテーションが重要である。