最終更新日 2019/07/04

心房細動

心房細動とは・・・

心房細動(しんぼうさいどう、atrial fibrillation)とは、不整脈の一つで、心房が細かく動くことで規則正しい拍動ができず、心室の収縮が不規則な間隔で起こる病態である。多くは頻脈になり、脳卒中心不全のリスクが上昇する。

 

原因

電気生理学的には、心房局所の異常興奮の亢進、心房内の不規則な旋回運動、複数の興奮波が原因で起こるとされている。
基礎疾患としては僧帽弁狭窄症、心不全、心筋梗塞などの心疾患や、糖尿病高血圧甲状腺機能亢進症など心疾患以外でも起こる。

 

症状

約40%は無症候性と言われる。胸部不快感、呼吸困難感、嘔気、疲労感、動悸などを自覚する。心不全を合併すれば心不全症状を来す。
また、心房細動の症状ではないが、脳梗塞を合併すると片麻痺や構音障害を来す。

 

検査・診断

心電図でR波とR波の間隔が不規則であり、P波が消失してf波(細かい基線の揺れ)があれば診断できる。

 

図1心房細動の不整脈
心房細動の際に出現する不整脈を表したイラスト

 

治療

治療としては、(1)不整脈自体に対する治療と、(2)脳卒中予防のための抗血栓療法が行われる。

 

(1)不整脈自体に対する治療

不整脈自体に対する治療としては、リズムコントロール(不規則な脈を規則正しい脈に戻す)か、レートコントロール(不規則な脈のままで、速い心拍数を正常範囲の心拍数まで下げる)が行われる。どちらの方が良いということはなく、個々の患者に応じて選択される。用いる薬剤は抗不整脈薬で、リズムコントロール目的に抗不整脈薬を投与して正常洞調律に戻らない場合にはカーディオバージョンが行われる。

 

また、循環動態が不安定な心房細動で、心房細動によって不安定な循環動態が引き起こされていると判断される場合にも、リズムコントロールのためにカーディオバージョンが行われる。

 

(2)脳卒中予防のための抗血栓療法

脳卒中予防のための抗血栓療法としてワーファリンやdirect oral anticoagulants (DOAC)が用いられる。DOACはワーファリンと比較して副作用が少ないとされ、内服管理しやすい点が特徴である。

 

予防

心房細動の予防かつ根本的治療として、カテーテルアブレーションが行われる。これは異常な電気回路を電熱焼却する方法である。

 

引用参考文献
1)日本循環器学会ほか.心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版).
2)宮内靖史.“心房細動”.日本不整脈心電学会.

 

執筆: 小森大輝

順天堂大学大学院医学研究科 総合診療科学大学院生

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