胃ろうから経口摂取復帰も実現。患者さんに口から食べる幸せを│日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士
脳卒中などの脳血管障害による麻痺や神経・筋疾患、加齢による筋力の低下などで、咀嚼機能や嚥下機能が低下して起こる摂食嚥下障害。こうした障害のある患者さんの食べる機能を評価し、段階的に食事を摂る訓練を行っていくのが摂食嚥下リハビリテーションです。
高齢者や脳血管障害の患者さんが増えている中、このリハビリテーションに必要な知識を幅広く修得できる資格「日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士」にも注目が集まっています。
今回は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の看護師、小山珠美さんが、どのように資格を活かし、お仕事をされているのかを取材しました。
社会医療法人三思会 法人本部摂食嚥下サポート担当課長
NPO法人口から食べる幸せを守る会理事長
小山珠美さん
※肩書は取材当時のものです。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士・小山珠美さんインタビュー【前編】
生きる力を取り戻す摂食嚥下リハビリテーション
神奈川県厚木市にある社会医療法人三思会で、摂食嚥下サポート担当の看護師として活動する小山さん。同法人が運営するとうめい厚木クリニックの摂食嚥下外来で、1日に1〜4名の患者さんを担当するほか、電話相談も行っています。さらには、他施設からの依頼による訪問も担当しています。
患者さんに対してまず行うのは、摂食嚥下機能の総合評価です。医師とともに全身状態の確認や口腔ケアを行いながら、水・食べ物を摂るスクリーニングテストを行い、経口摂取の可能性を探っていきます。
「評価を元に、ゼリーなどから開始し、徐々に飲み込みやすさの難易度を上げていきます。最も大切なことは、口から食べていない期間をできる限り短くすることです。
時間が空いてしまうと、廃用症候群と言って食べる機能だけでなく、心身の機能まで低下してしまうからです。さらにその患者さんの頑張ろうとする回復力、生きる意欲までも失わせてしまいます。摂食嚥下リハビリテーションは、食べることによってその方の生きる力を取り戻す作業なのです」
では実際、患者さんに対してどのようにリハビリテーションを行っていくのでしょうか。
「リハビリを進める上で大切なのは、安全に食べる練習をしていくことです。
まず、口の中をきれいにして、のどの痰を取り除いて通りをよくします。身体を起こして覚醒を促し、呼吸と認知機能を高めます。クッションなどを入れて安定した姿勢をつくることも大切です。そして、食事を見せて匂いを嗅いでもらい、“食べましょうね”“元気になりますからね”と声をかけながら進めていきます。視覚、聴覚、嗅覚を刺激することで脳から指令が出るようになります。
また、なるべく自分で手に持ってもらうことも触覚刺激として大切な要素です。
そうしたことが呼び水となり、次第に舌が動いて食べ物がのどを通るようになり、自分でごっくんと飲み込めるようになります。その結果、意欲も高まり、笑顔がでてきます。身体を起こすことで肺の動きもよくなり、痰も自分で出しやすくなります。手に麻痺のある方でも、麻痺のない方の手で食べられるようになります。やはり寝たきりで天井だけみていては覚醒レベルも上がりません。
病気の発症からできるだけ早期にこうした“口から食べるリハビリ”を始めれば、かなり早い時期に食べられるようになります」
誤嚥性肺炎で入院した要介護高齢者へのベッドサイドスクリーニング評価
リハビリによって90%近くが口から食べられるように
2007年から2010年までに担当した1,707名(死亡退院者を含まない)のうち、退院時に経口摂取ができるようになった患者さんは1,518名。全体の88.9%です。リハビリの効果が最も高い脳卒中の患者さんだけでみると、91.8%にも上ります。また、患者さんのうち入院から経口摂取までの日数の平均はわずか7日となっています。
これまでに小山さんが担当してきた患者さんには、胃ろうから経口摂取できるようになった方や、在宅でリハビリを受けて食べられるようになった方もたくさんいます。
「最近のケースでは、脳卒中後遺症がある70歳代の女性が、誤嚥性肺炎で入院となり、経口摂取は困難と判断されていました。半年間ほぼ寝たきりで、胃ろうのみの栄養だった方ですが、3カ月間の外来と訪問の対応で3食とも経口摂取となりました。4カ月後にはご主人とほぼ同じものを食べられるまでになったのです。
彼女は15年前、くも膜下出血で右半身に麻痺が残り、誤嚥性肺炎と診断を受け、食べることが難しいと判断されていたのですが、ご主人が口から食事を摂らせたいとクリニックに連れてこられたんです。
摂食嚥下機能の評価を行ったところ、食べる力、飲み込む能力共に十分にあることが分かり、在宅でリハビリを続けてきました。彼女は、口から食べられるようになっただけでなく、麻痺のない方の手で箸も使えるようになったんです。しかも、寝たきりから、デイサービスを利用したり、ご主人とドライブをしたりできるようになり、食べられたことでうれしい変化がたくさんありました。
このように適切な方法でリハビリを行えば、本当は口から食べられる方、そして、寝たきりでなくなる方はたくさんいると考えています」
後編では、小山さんが摂食嚥下リハビリテーションに携わるようになった経緯や、リハビリテーションに対する想いを伺います。
【看護roo!編集部】
【後編】 「口から食べる」にこだわる看護│日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士・小山珠美さん
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コメント
コメント一覧 (22)
昨年度より小山先生のKTバランスチャートをツールとした看護研究を行っています。小山先生にアドバイスいただけるような相談窓口を教えていただけないでしょうか?会員登録など・・・
父の主治医が初めから経口摂取は無理と決めつけ、嚥下の評価もしてない。絶食1か月。つばや痰をごっくんと音を立てて飲み込んでいる姿を見ているのが辛い。IVHの患者はリハビリ病院の受け入れがない状況。
一年間、実行して効果がでました。小山さまに詳しく報告したい。
院内にたった2人のSTさんが頑張ってくれています…。
確かに大事。でも、全ての対象者に同質のケアを提供するのってすごく難しい。
看護師が吸痰準備で控えてないといけない人も多いし。
STがいるじゃん