最終更新日 2024/09/27

ドンペリドン

ドンペリドンとは・・・

ドンペリドン(どんぺりどん、Domperidone)とは、抗ドパミン薬(消化管運動改善薬)の一つで、消化管の運動が低下した際に起こる吐き気や胸やけを抑制し、食欲不振を改善する制吐剤である。

 

禁忌

・ドンペリドンの成分に対して過敏症状の既往がある。
・妊婦、または妊娠している可能性がある女性(授乳婦には安全に使用可能)。
・褐色細胞腫に疑いがある(急激な昇圧発作を起こすリスクあり)患者。
・消化管に出血、穿孔または器質的閉塞(機械的イレウス)がある患者(消化管運動の亢進により、症状を増悪させるリスクあり)。

 

作用機序

ドンペリドンは延髄にある嘔吐中枢のドパミン受容体を阻害することで吐き気や嘔吐の症状を緩和する。また、末梢のドパミン受容体の作用も阻害することで上部消化管の運動を促進する作用もある。

 

メトクロプラミド(プリンペラン®︎)と同様の作用機序の制吐剤で、内服薬(錠剤、OD 錠、シロップ、細粒)あるいは坐薬がある。中枢・末梢いずれにも作用するが、メトクロプラミドと異なり末梢優位である。ドンペリドンの場合、 坐薬は内服に比べ効果発現まで時間がかかる。

 

効能・効果

下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気)

 

成人

慢性胃炎下垂症、胃切除後症候群
抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時

 

小児

周期性嘔吐症、上気道感染症
抗悪性腫瘍剤投与時

 

用法・用量(ドンペリドン錠)

成人

1回10mgを1日3回食前に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

 

小児

1日1.0~2.0mg/kgを1日3回食前に分けて経口投与する。なお年齢、体重、症状により適宜増減する。1日最大投与量は30mgとする。6歳以上の場合、1日最大投与量は1.0mg/kgとする。

 

副作用

主な副作用としては女性化乳房、肝機能異常、下痢などがある。
長期投与すると錐体外路障害(パーキンソン様症状)などの神経障害を生じることもある。また下垂体に作用してプロラクチン値を上昇させることで、乳汁分泌などの内分泌機能異常も報告されている。
ほかにも頻度は不明であるが、重大な副作用として、アナフィラキシーやショックが上げられる。

 

処方時の注意点

内分泌機能異常(プロラクチン値上昇)や錐体外路症状などの副作用が出現することがあり、長期投与に関しては有効性と安全性を考慮する。
また制吐作用を有するため、腸閉塞や脳浮腫などによる嘔吐症状を不顕在化することがあり注意する。

 

引用参考文献
1)ドンペリドン錠.添付文書.(2024年9月閲覧)
2)世良俊樹.下痢嘔吐などの胃腸炎-制吐剤, 止瀉薬(止痢剤)の考えかた.Emer-Log.32(4),2019,534-539.

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