最終更新日 2018/02/28

胃炎

胃炎とは・・・

炎(いえん)とは、胃粘膜の炎症性疾患の総称である。急性、慢性胃炎に大別される。一般に胃炎というと慢性胃炎を意味する。

 

急性胃炎

急性胃炎は、何らかの誘因によって引き起こされ急性発症する胃粘膜の炎症性疾患を指す。日常臨床では病歴と理学的所見から診断することが多い。上部消化管内視鏡検査で凝結塊の付着した多発性びらんや浅い潰瘍を示すことが特徴的所見で、AGML(急性胃粘膜病変)とも呼ばれる。

 

症状

みぞおち付近の痛み、胃が膨らむような不快感、悪心、嘔吐、吐血、下血などが急激に起こる。

 

原因

暴飲暴食(特にアルコール飲料の飲みすぎ)、医薬品(非ステロイド系消炎鎮痛薬など)、急性のヘリコバクター・ピロリ菌感染、ストレスアニサキスなど。

 

治療

原因の除去が基本で、薬物療法としては酸分泌抑制薬(PPI)やH2受容体拮抗薬(H2RA)などがある。

 

慢性胃炎

慢性胃炎は、胃生検の病理組織学的検査により診断される「組織学的胃炎」、上部消化管内視鏡検査などで診断される「形態学的胃炎」、器質的疾患がなく心窩部痛、胃もたれ、吐き気などの上腹部消化器症状を訴える「症候性胃炎」の3つの考え方で用いられてきた。
近年、慢性胃炎は、本来の病理組織学的に確診された場合に用いられるようになり、従来の症候性胃炎は機能性ディスペプシア(FD)という病名となった。

ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎は、らせん状グラム陰性桿菌であるヘリコバクター・ピロリ菌が胃粘膜に感染、生息した状態で、感染率は年齢とともに上昇し、60歳以上で約30~50%である。日本では現時点で約3600万人が感染していると推定されている。

 

検査法としては内視鏡を用いる方法として迅速ウレアーゼ試験や培養法があり、用いない検査としては尿素呼気法や血液検査便検査尿検査などで診断する。治療としてはヘリコバクター・ピロリ菌を除菌する方法が一般的で、プロトンポンプ阻害薬(PPI)ないし新規酸分泌抑制薬(ボノプラザン)、抗菌薬のアモキシシリン(AMPC)とクラリスロマイシン(CAM)の3剤を7日間内服する1次除菌とクラリスロマイシンをメトロニダゾールに替えた2次除菌までが保険適応になり、高い除菌率が得られる。ピロリ菌は潰瘍や胃癌との関連もあり、除菌が推奨されている。

 

機能性ディスペプシアは症状の原因となる器質的疾患がないにも関わらず、慢性的に胃もたれや心窩部痛など腹部症状を呈する疾患で、QOLの著しい低下がみられる。治療は患者の不安を取り除いた上で症状に応じた薬物療法を行う。
 

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