最終更新日 2024/09/24

つわり

つわりとは・・・

つわり(morning sickness)とは妊娠5週目あたりから起こる悪心・嘔吐、食欲不振のことである。つわりが重症化した場合を妊娠悪阻(にんしんおそ、hyperemesis gravidarum)という。

 

原因

明確な機序は不明であるが、妊娠によりホルモンバランスが変化し、その変化に母体が適応しきれずに起こるとされる。

 

症状

悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器症状が、早朝や空腹時に起こる。
通常は、妊娠12週~16週目前後で症状が消えるが、個人差が大きい。また、一度消えても、妊娠後期に再発する後期悪阻もある。

一般的に妊娠中の吐き気や嘔吐は、治療を要することなく自制内である。しかし、つわりがひどくて食事や水分摂取が全くできない場合(妊娠悪阻)は、医療対応が必要となる。

 

妊娠悪阻

妊娠悪阻では、体重減少、脱水電解質異常などが見られる。通常のつわりとは異なり、妊娠悪阻は母体および胎児の健康に悪影響を及ぼす可能性がある。

 

検査

症状がひどければ血液検査尿検査で、電解質異常や尿中ケトン体の有無を確認する。

 

治療

軽症例は、心身の安静と休養で症状を和らげ、食事や水分摂取は少しずつ何回かに分けて摂取するように心がける。
皮膚のツルゴール低下や口腔内乾燥など脱水の症状が認められる
・5%以上の体重減少があり経口水分摂取ができない
・尿中ケトン体強陽性が続く

 

制吐薬での治療

悪心・嘔吐の症状が強い場合、制吐薬が使用される場合もある。
制吐薬としてはドパミン拮抗薬ヒスタミン H1受容体拮抗薬、セロトニン5-HT3受容体拮抗薬などが使用されている。

 

予防

つわり予防の有効成分は確証されていないが、マルチビタミン(ビタミン A、B1、B2、B6、B12、C、D、E、葉酸、ミネラルなどを含有)が有効であるとの報告がある。

 

合併症

妊娠悪阻は静脈血栓塞栓症(VTE)のリスク因子である。
特に脱水傾向にある場合は深部静脈血栓症(DVT)を発症しやすいので、十分な水分摂取を心掛けてもらい、DVT の早期発見に努める。
特に高齢者、肥満、VTE の既往、VTE 家族歴には注意を要する。

 

引用参考文献

1)日本産科婦人科学会ほか監.産婦人科診療ガイドライン 産科編2023.(2024年9月閲覧)
2) Quinla JD, Hill DA. Nausea and vomiting of pregnancy. Am Fam Physician. 2003 Jul 1;68(1):121-8.(2024年9月閲覧)

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