最終更新日 2018/10/25

検体検査

検体検査とは・・・

検体検査(けんたいけんさ、biological specimen test)とは、人体から得られた検体を用いて行う検査のことである。なお、検体とは、人体から採取、もしくは排泄された検査の対象となる物質である。

 

種類

検査としては、尿・糞便等一般検査、血液学的検査、生化学的検査、免疫学的検査、微生物学的検査、病理学的検査、遺伝子関連・染色体検査がある。対象とする検体には血液、尿・便・痰などの排泄物、組織、細胞などがある。

 

以下、簡単にそれぞれの検査がどのような検体を用い、どのようなことを調べるかについて述べる。

 

尿・糞便等一般検査

尿は腎臓で血液がろ過されて、老廃物を排出するために生成される体液であり、尿検査は、腎・尿路の状態や疾患を把握する目的で行われる。便検査は、便中の血液の確認(便潜血検査)をはじめ、寄生虫・原虫検査など消化器の異常を検出する目的で行われる。

 

血液学的検査

血液学的検査には、血液中の細胞数(赤血球数白血球数血小板数)、およびヘモグロビン濃度、そして止血に関わる機能の評価をするための凝固・線溶系を確認する検査がある。末梢血塗抹像を見ることで、異常な白血球の有無を確認し、白血病などの精査を行う。また、細胞性免疫検査も血液学的検査に含まれる。

 

生化学的検査

生化学的検査とは、血清中に存在する各種物質の濃度を測定することで、患者の全身状態や、各臓器の状態を推測する検査である。生化学検査が対象とする項目としては、肝胆道系、腎、筋肉、骨、膵臓に関連した項目、電解質や生活習慣(糖・脂質代謝関連検査)に関連した項目、ホルモン検査、腫瘍マーカー検査などがある。

 

免疫学的検査

人体は、体内に細菌やウイルスが侵入すると、これらを異物として認識し、それらに対処するための細胞を一時的に増加させたり、異物に対する抗体を産生したりして対応する。こうした免疫機能の状態を調べる検査として、炎症・感染のマーカー、感染病原体の抗原やそれぞれに対する抗体、自己抗体、アレルギーに関する検査、免疫能に関する検査が行われる。また、輸血関連検査も免疫学的検査に含まれる。

 

微生物学的検査

検体の中に微生物がいるかどうか調べる検査である。体に炎症があることが想定されるとき、その原因が感染によるものであるかを診断するために行う。検体としては、血液、痰、尿、胸水、腹水、関節液、便などといった体液が対象となり、そこにある微生物/菌を検出、同定し、どの薬剤に効果があるか(感受性)を調べる。

 

病理学的検査

臓器や組織の一部、または細胞を顕微鏡で観察し悪性細胞などを見つけるための検査である。病理学的検査は他の臨床検査と異なり、その結果が確定診断となり得るものである。

 

遺伝子関連・染色体検査

遺伝子検査は、医療では、次の3つの目的で用いられている。

 

(1)病原体核酸検査

細菌やウイルスなど病原体の核酸(DNA、RNA)を検出・解析する検査。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどが代表的。

 

(2)体細胞遺伝子検査

がん細胞特有の遺伝子の構造異常などを検出する検査。

 

(3)生殖細胞系列遺伝子検査

生涯変化しない、その個体が生来的に保有する遺伝学的情報を明らかにする検査。単一遺伝子疾患、薬剤応答性、個人識別などが挙げられる。

 

染色体検査は、染色体異常を検索する臨床検査の一つである。染色体異常には、先天異常を引き起こす染色体異常と、がん細胞などに現れる後天的な染色体異常とがある。検体としては、血液、羊水、絨毛、骨髄液、腫瘍組織などが対象となる。

執筆: 浅香葉子

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター副医長

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