肥満細胞(マスト細胞)とは・・・
肥満細胞〈マスト細胞〉(ひまんさいぼう、mast cell)とは、骨髄系細胞由来の細胞であり、末梢血の顆粒球の一種である好塩基球に類似した性質を持つ、免疫細胞の一種である。肥満細胞の顆粒内には、ヒスタミン、ロイコトリエン、血症板活性化因子、セロトニン、ヘパリンなどのケミカルメディエーターと呼ばれる物質が含まれている。
働き
肥満細胞の細胞表面には、IgEに対する高親和性受容体であるFcεRIが発現している。FcεRIに結合したIgEに対する抗原(アレルゲン)が結合し架橋すると、細胞内の顆粒が放出される。放出されたケミカルディエーターが、血管透過性の亢進、血流の増加、炎症細胞の遊走といった炎症反応を惹起したり、気道平滑筋の収縮などを引き起こしたりして、Ⅰ型アレルギー反応を惹起する。
なお、Ⅰ型アレルギーでは、マスト細胞が主体となる(1)即時型の反応と、好酸球が主体となる(2)遅発型反応が起こる。
(1)即時型反応
即時型反応では、気道や目などの粘膜や皮膚に存在する肥満細胞に抗原暴露が起きると、放出されたケミカルメディエーターによって、結膜の充血、掻痒感、鼻汁、くしゃみ、紅斑といった局所のアレルギー症状が引き起こされ、更には全身の血管拡張によるアナフィラキシーショックを呈することもある。
(2)遅発型反応
遅発型反応では、肥満細胞から放出されたケミカルメディエーターが好酸球を局所へ遊走し、サイトカインやケモカインが組織に作用する。