最終更新日 2017/07/18

自家移植

自家移植とは・・・

自家移植(じかいしょく)とは、治療目的のために自分の臓器や組織、細胞を取りだし自分自身に移植することである。皮膚腎臓造血幹細胞などが自家移植の対象としてあげられるが、必ずしも同じ部位に移植しなおすとは限らない。他人から臓器などを移植する他家移植とは異なり免疫による拒絶反応が起きないことが特徴で、移植後に免疫抑制剤を投与する必要が無い。

 

植皮

植皮は、皮膚の移植である。植皮は、一般的な自家移植の一つである。代表的な植皮の適応を以下にあげる。
・熱傷や外傷による皮膚の欠損部位
・熱傷や外傷が治癒した後の瘢痕(※)の切除部位
ケロイドなどの切除部位
・痣(あざ)などの切除部位
・合指症などに対して、指を切り離した後の皮膚の欠損部位
近年は、患者自身から皮膚の小片を採取し、大きな広い皮膚に培養してから、移植に用いる研究もおこなわれている。
※瘢痕(はんこん):傷などが治った後に皮膚に残る跡。

 

自家腎移植

自家腎移植とは腎臓に対する外科的な治療において、一時的に腎臓を体外に摘出し、手術操作後につなぎ直す方法のことである。狭い術創内で複雑な操作を行うよりも、安全かつ確実であることが見込まれる場合に用いられる。主な適応を以下にあげる。
・複雑な腎血管病変
・単腎に発生した腫瘍
・複雑な腎結石
・広範囲の尿管病変
・腎内の動脈瘤

 

造血幹細胞の自家移植

造血幹細胞の自家移植は、悪性リンパ腫多発性骨髄腫などの血液がん治療の一部としておこなわれる。悪性リンパ腫や多発性骨髄腫は、リンパ球が腫瘍化した疾患である。あらかじめ患者自身の造血幹細胞を採取し凍結保存し、通常と比べ大量の化学治療をおこなった後に、移植する。移植をしなければ白血球血小板が回復しない、あるいは回復に1カ月以上の長期を要するが移植によって、患者の造血能の早期回復を期待する。自家移植に用いる造血幹細胞は、ほとんどの場合、末梢血から採取する。治療の一環として造血幹細胞の自家移植をおこなう条件を以下にあげる。

 

・原則65歳以下までで、重篤な臓器障害がなく抗生剤治療を要するような感染症に罹患していないこと。
・十分な造血能を有すること。(末梢血幹細胞の採取のため)
・抗癌剤に対する十分な感受性を有すること。

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