最終更新日 2019/11/21

ケロイド

ケロイドとは・・・

ケロイド(けろいど、keloid)とは、一度治癒した創部に数か月後に見られるみみず腫れのような境界明瞭な紅色(または褐色)の隆起性病変である。

ケロイドは下床に軟骨・骨のある部位にできやすく、顔面、前胸部、上腕、背部、恥骨部に多いといわれる。

 

原因

ケロイドの発生は遺伝的素因もあり、アレルギー疾患を持つ人に多いとされる。
傷が治る過程で瘢痕組織が作られるが、この瘢痕組織が過剰に産生され、もとの創部を超えて次第に広がってゆくものを指す。
ただし、詳細な原因については不明である。

 

症状

病変に痛みやかゆみを伴う。また、ケロイドは消退傾向がなく、再発・増悪することがある。

 

検査・診断

ケロイドと似たものに肥厚性瘢痕がある。しかし、どちらも同じように隆起性病変を形成するため、真性ケロイドと肥厚性瘢痕は見た目では鑑別は困難である。肥厚性瘢痕との違いは創部を超えて正常皮膚まで病変が広がり、痛みやかゆみを伴うことが多い。再発、増悪が多い点も特徴的な違いである。

 

治療

ケロイドの治療には、保存的療法と外科的療法がある。

 

(1)保存的療法

内服薬としてトラニラスト (リザベン®)という抗アレルギー薬や漢方の柴苓湯を処方する。トラニラストは、皮膚線維細胞の増殖を抑えると考えられている。炎症を抑えるために外用薬としてステロイド軟膏や非ステロイド系抗炎症剤、保湿の効果のあるヘパリン類用物質の塗布やステロイドテープの貼付もある。
その他に、シリコンシートなどで圧迫してケロイド内の血流量を抑えることで、皮膚線維細胞の増殖を抑える圧迫療法や、ケロイドに直接ステロイドを注射するステロイド注射などの保存療法もある。

 

(2)外科的療法

ひきつれ(瘢痕拘縮)が見られたり、身体の目立つ場所にケロイドがある場合に手術が行われることがある。病変部を切り取り、周囲の正常皮膚を縫合する。ただし、手術のみでは高い確率で再発するため、手術後も保存的療法を十分に行う。また、再発予防のため創部に放射線照射を併用する場合もある。

執筆: 上村恵理

長崎大学病院 高度救命救急センター助教

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