酒さ|付属器疾患②

『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回は酒さについて解説します。

政次朝子
さくらこまち皮フ科クリニック皮膚科

 

 

Minimum Essentials

1中高年の顔面に生じる、紅斑を主徴とする慢性炎症性疾患。原因不明である。

2部を中心とした顔面のほてり感・灼熱感を伴う紅斑で、毛細血管拡張、丘疹、膿疱を併発することもある。

3環境温度の急激な変化や精神的ストレスなどの悪化因子を避ける。薬物療法は抗菌薬の内服・外用などが中心となる。

4難治で慢性に経過するため、継続加療が必要である。鼻瘤(びりゅう)は中年以降の男性に多く、女性にはまれである。

 

酒さとは

定義・概念

顔面の紅斑・ほてり・灼熱感を主症状とする慢性炎症性の皮膚反応。

 

中年以降の女性に多く、紅斑以外に毛細血管拡張、丘疹、膿疱などの多彩な皮膚病変がみられる。

 

原因・病態

原因は明らかではない。増悪因子として寒冷・温熱刺激、ストレス、紫外線、飲酒、香辛料の摂取などがある。

 

 

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診断へのアプローチ

臨床症状・臨床所見

30歳代以降に発症し、顔面に繰り返し生じる一過性の紅斑、ほてり感、灼熱感が初発症状である(いわゆる赤ら顔)。

次第に持続性の紅斑となり、毛細血管拡張もみられるようになる(I度酒さ)。さらに進行すると、毛包に一致した丘疹・膿疱が加わる(II度酒さ)(図1)。

 

図1II度酒さ

図2 II度酒さ

 

鼻尖部の皮膚が厚く肥厚し盛り上がり、鼻瘤(III度酒さ)に進行することもある。日本人では、III度酒さはまれである。

 

検査

接触皮膚炎、花粉皮膚炎、アトピー性皮膚炎など、顔面が赤くなる疾患と鑑別するための検査を行う。

 

 

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治療ならびに看護の役割

治療

おもな治療法

増悪因子を避ける。

 

I、II度酒さにはテトラサイクリン系あるいはマクロライド系抗菌薬の内服・外用、ナジフロキサシン外用などの尋常性ざ瘡に準じた治療を行う。

時にタクロリムス軟膏やメトロニダゾール外用・内服(保険適用外)も試みる。

 

毛細血管拡張に対しレーザー治療が行われることもある。鼻瘤は外科的切除の対象になる。

 

合併症とその治療法

約20%の患者で結膜炎、角膜炎、眼瞼炎、角膜潰瘍などを合併する。眼科と連携して加療する。

 

酒さとの鑑別を要するものに、ステロイド外用剤の長期連用によって生じる酒さ様皮膚炎がある。中年期女性に多く、主として口囲に紅斑・丘疹が現れる。ステロイド外用剤を中止し、酒さに準じた治療を行う。

 

治療経過・期間の見通しと予後

治療を行っても慢性に経過する。

 

また、患者の皮膚は種々の化学物質に対し過敏になっており、化粧品や石鹸などの軽い刺激でもひりひりしたり、灼熱感が生じることがある。

 

日焼け止め、外用薬による接触皮膚炎にも注意する。

 

看護の役割

治療における看護

慢性に経過するため、スキンケア、日常生活指導が大切である。

・低刺激性の石鹸・洗顔料で洗顔し、可能な限り化粧を控える。

・増悪因子をチェックし、それを避ける。

・症状が長期に続き、患者にとってはかなりの精神的苦痛となるので、精神的サポートが重要である。

 

 

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本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂

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