MRI検査
『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回はMRI検査について解説します。
大森昌子
新東京病院看護部
MRI検査はどんな検査?
磁気共鳴現象を利用して、人体の横断像・縦断像を描くMRI検査(磁気共鳴画像法)では、1回の検査で心機能、心筋血流、心筋生存能の評価、冠動脈の描出が可能です(図1)。梗塞や線維化などの心筋性状や心筋血流、壁運動、また冠動脈の高度石灰化病変の内腔も描出することができます。ただし、ステント内腔は描出できないため、PCI既往のある人の冠動脈は評価できません。
冠動脈の評価では、空間分解能が高いCTが優先されますが、放射線感受性の高い若年者にはMRI検査の利用がすすめられます。また、1.5TMRI装置では、造影剤を使用せず撮影することができるため、腎機能障害がある人でも検査を受けられます。
検査を受けることができないのは、MRI非対応のペースメーカやICD植込み、冠動脈や頸動脈にステントを挿入して間もない人などです。また、検査時間が30分から1時間と長く、閉所恐怖症の人も難しいです。
造影MRIではガドリニウム造影剤を使用します。重篤な腎機能障害がある場合、腎性全身性線維症(NSF)※1が現れることがあるため、絶対的禁忌です。
文献
- 1)医療情報科学研究所編:病気がみえる vol.2循環器 第4版.メディックメディア,東京,2017.
- 2)齋藤滋監修,高橋佐枝子,島袋朋子編:やさしくわかる心臓カテーテル 検査・治療・看護.照林社,東京,2014.
- 3)木村文子,西村重敬編:見て診て学ぶ 虚血性心疾患の画像診断 ̶CT・MRI・核医学・USで診断する̶.永井書店,大阪,2009.
- 4)川久保清:運動負荷心電図 その方法と読み方 第2版.医学書院,東京,2010.
- 5)水島美津子,岩下淨明,上條敏夫 他:図説 超音波検査シリーズ12.国立医療学会編:超音波検査の進め方 下肢動脈・下肢静脈疾患のチェックポイント.医療 2006;60(12):788-796.
- 6)小山英則:末梢動脈疾患(PAD)診断と治療の進歩.日本内科学会雑誌 2008;97(2):267-397.
- 7)中西新,副島宏美:血管超音波検査による下肢動脈血流の評価.創傷 2011;2(2):65-72.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社