心筋シンチグラフィ
『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』(照林社)より転載、Web掲載にあたり一部改変。
内容は書籍刊行当時のもの。
今回は心筋シンチグラフィについて解説します。
大森昌子
新東京病院看護部
〈目次〉
心筋シンチグラフィはどんな検査?
心筋シンチグラフィは、放射性同位元素を含む製剤を体内に投与し、放射線を検出するカメラで、その分布を撮影して画像化する検査です(図1)。
検査は、SPECT(単光子放出型コンピュータ断層撮影)とPET(ポジトロン[陽電子]放出型断層撮影)があり、SPECTではタリウムやテクネチウム、BMIPP(ベータ メチル-p-ヨードフェニルペンタデカン酸)などを使用し、PETではFDG(フッ素-18デオキシグルコース)、アンモニア、水などを使用します。
CTと同様に被曝を伴う検査ですが、腎機能障害のある患者さんでも使用できる利点があります。
心筋血流や心筋代謝といった機能面の描出にすぐれています。
心筋虚血や心筋生存能を評価し、虚血性心疾患や心臓サルコイドーシス※1の診断を行います。
血流低下部位は集積低下像として描出されます。
負荷心筋シンチグラフィ
負荷心筋シンチグラフィは、薬物投与や運動負荷を行い、心筋シンチグラフィと心電図のST変化を観察して心筋虚血を評価します(図2)。
負荷の方法は、運動負荷(エルゴメーター、トレッドミル)と、薬物負荷(アデノシン、ジピリダモール、ドブタミン塩酸塩)の2種類があり、併用することもあります。
心臓に負担をかけた状態(負荷)と、通常の状態(安静)で2回撮影し、負荷前後の放射性同位元素の集積分布画像から虚血性心疾患を診断します。
心筋虚血がある部位は、安静時には集積し、負荷時に集積が低下を認めます。
文献
- 1)医療情報科学研究所編:病気がみえる vol.2循環器 第4版.メディックメディア,東京,2017.
- 2)齋藤滋監修,高橋佐枝子,島袋朋子編:やさしくわかる心臓カテーテル 検査・治療・看護.照林社,東京,2014.
- 3)木村文子,西村重敬編:見て診て学ぶ 虚血性心疾患の画像診断 ̶CT・MRI・核医学・USで診断する̶.永井書店,大阪,2009.
- 4)川久保清:運動負荷心電図 その方法と読み方 第2版.医学書院,東京,2010.
- 5)水島美津子,岩下淨明,上條敏夫 他:図説 超音波検査シリーズ12.国立医療学会編:超音波検査の進め方 下肢動脈・下肢静脈疾患のチェックポイント.医療 2006;60(12):788-796.
- 6)小山英則:末梢動脈疾患(PAD)診断と治療の進歩.日本内科学会雑誌 2008;97(2):267-397.
- 7)中西新,副島宏美:血管超音波検査による下肢動脈血流の評価.創傷 2011;2(2):65-72.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社